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入り口のメインの平台に6列で展示する(八重洲ブックセンター本店)

入り口のメインの平台に6列で展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。来店客はそれなりに戻りつつあり、法律関係の本や資格の勉強のためのテキストなどが売れ始めているほか、ビジネス書の新刊への反応もだいぶよくなっているという。そんな中、書店員が注目するのは企業再生のプロがコロナショックからの真の復興のカギとなる、日本企業の大変容の道筋を熱い思いで考察した一冊だった。

目指すべき会社の形を提示

その本は冨山和彦『コーポレート・トランスフォーメーション』(文芸春秋)。コロナショックからの生き残りの処方箋と見取り図を語った5月刊の『コロナショック・サバイバル』(同)の続編となる。前著は118ページと短くまとめた緊急提言だったのに対して、本書は389ページと本格的な分量で、これまでの日本的経営モデルの分析から始まって会社を根こそぎ変える方法論、さらにそこから世界はどう変わり、その中で生きる個人はどう変わっていくのかまで視野に収めた骨太の論考だ。

著者の冨山氏は経営共創基盤(IGPI)最高経営責任者(CEO)。産業再生機構でカネボウ、ダイエーなど多くの企業再生に関わってきた経験から、日本的経営の古いモデルの何が機能しなくなったかをあぶり出す。その上で、日本企業が置かれている現在地をしっかりと見定め、どんなビジョンで会社をつくり変えるか、目指すべき会社の形と方法論を提示する。

カギになるのは、会社の組織能力だ。事業戦略がどうこうという問題ではなく、「組織能力自体をもっとも重要な経営対象として、その可変性を大きくしない限り、持続的に競争優位を保つことは難しい時代に入っている」と著者はいう。そしてコーポレート・トランスフォーメーション(CX)を「憲法改正くらいのスケール、時間軸、マグニチュードの大変革」と位置づけ、「カイシャの新憲法草案」として6ページにわたる箇条書きでその条件を示す。そこには、ジョブ型雇用、平均就社期間10年、ROE(自己資本利益率)・キャッシュフロー重視、社長が新卒入社生え抜きの日本人男性である確率は3割以下……など、日本的経営モデルとは対極をなす条件が精緻に並ぶ。

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