2020/7/21

1つの投信の中に、株式や債券など異なるカテゴリーの運用対象が分散して入っている商品を「バランス型投信(以下、バランス型)」といいます。バランス型は、さまざまなものが1つの箱に詰まったいわば「幕の内弁当」のようなもの。そのため、投資初心者向けに「迷ったらバランス型投信を」とおすすめされることもあります。ただし、ここで落とし穴ともいうべき点があります。

それは、バランス型に入っている「中身の違い」です。幕の内弁当といっても中身に詰め合わせるものによって様々です。中身の違いのポイントは大別すると、(1)運用対象(2)運用対象がどう配分されているか(3)運用のスタイル――この3点がありますが、ここでは(1)運用対象で多い落とし穴について取り上げてみます。

REIT、株式より値動き大きいことも

こんな声を聞くことがあります。「運用対象への分散は多いほうがいいと思って、『8資産分散』のバランス型を選びました」というものです。

こういった8資産などいくつもの運用対象に分散するバランス型は、運用の対象を株や債券だけではなく、不動産投資信託(REIT)という不動産を運用対象としたものもあります。不動産と聞くと安定している印象を持つ人もいますが、実は株式以上に値動きが大きくなることもある運用対象です。

また、海外の株式や債券といっても、先進国なのか新興国なのか、あるいは両方なのかによって値動きの大きさが違います。新興国はときに先進国よりも値動きが大きくなることもあります。一般に新興国と呼ばれる海外の国々は、経済基盤が安定しなかったり市場の規模が小さかったりなどがその理由です。

8資産などで均等に分散されているバランス型では、この値動きが大きくなりがちなREITや新興国の株式や債券が運用対象になっていることが少なくありません。これらの割合が増える一方で、値動きの小さい国内債券の割合が相対的に少なくなります。そのため、そのバランス型全体では値動きが大きくなる可能性があります。それを意識していなければ、自分の想定した以上のリスクを取ってしまって、思わぬ値下がりに直面してしまう可能性もあるのです。

「詰め合わせ」ではなく、中身を把握

例として、バランス型の4資産と8資産の均等型で今年に入ってからの値動きをグラフにしました。年初に例えば100万円を投資していれば4資産では最大で14万円の下落ですが、8資産では24万円もの下落となっています。

現在のように、コロナの影響という未知の領域に入っていく状況にあっては、「福袋のように中身は完全におまかせ」では、「開けてびっくり」といった結果もないとはいえません。そうではなく、「詰め合わせてあるけれど、中身は自分で選んだので大体わかっている」というスタンスで、上手にバランス型投信を利用し、投資の第一歩を踏み出していただきたいところです。

※20年6月末現在の公募投信の総合計。出所は一般社団法人投資信託協会

中里邦宏
ファイナンシャルプランナー(CFP)、マネーディアセオリー株式会社取締役副社長。上場メーカーで設計担当後2004年にFP事務所を開業、16年に法人設立。顧客が納得するまでシミュレーションを繰り返すライフプラン相談を中心に、資産運用教育、ライフプランツールのプランニング、ロジック提供なども手がける。日本証券アナリスト協会検定会員、1級FP技能士、DCプランナー1級。

緊急事態宣言が解除され、「ニューノーマル」「新常態」とも呼ばれる新しい生活様式が広がりつつあります。コロナで一変した家計の収入や支出、それに伴うお金のやりくりをどうすればよいかも喫緊の課題です。連載「コロナの先の家計シナリオ」は専門家がコロナ後のお金にまつわる動向を先読みし、ヒントを与えます。

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