バルミューダのスピーカー 光に楽しさ、音の伸び課題
今回の目利き 吉村永氏
今回、紹介するのはブルートゥースのワイヤレススピーカーだ。
独自のアイデアでトースターなどの家電製品を発売して、その高品質が話題となってきたバルミューダ(東京都武蔵野市)。社長は元ミュージシャンという。それだけに中途半端なオーディオ製品は出したくないと思っていたとのことで、この製品は自信作ということだろう。
茶筒が太くなったようなサイズ感のこの製品は写真で見るとおり、円筒部がガラスで内部が透けて見えており、上部に上向きにスピーカーユニットが搭載されている。
最近、流行の部屋のどこに置いても音が360度、広がるという設計手法だ。充電式バッテリーを内蔵して7時間の再生に対応しているので、好きなときに好きな場所で、音楽を楽しめる。
一番の特徴は、内蔵された発光ダイオード(LED)ライトが音楽の調子に合わせて点滅すること。よく見ると、電球のような落ち着いたダイダイ色のLEDが12個搭載され、それがいくつかのグループに分かれて明滅する。3種の明滅モードが用意され、落ち着いた感じや激しい感じに切り替えられる。
実際使ってみるとただ音楽に合わせた明滅でありながら不思議と目が離せず、引き込まれていく感覚がある。暗めの部屋でゆったりした気分の時などにリビングに置くのがお勧めだ。
音源としては主にスマートフォンなどをブルートゥースで無線接続する。有線でも接続は可能なので手持ちのオーディオ機器の大半はつなげると考えていい。
しかし音質は非常に痩せている印象。高音、低音の伸びがバッサリとカットされ、人の声は明瞭に聞こえるが、抑揚や温かさ、パワフルさなどの再現に欠ける。ひずみの少ないAMラジオといえば想像しやすい。仕事や作業中のBGMとして聴くなら、抑揚の少ないレンジの狭い音は邪魔になりにくいが光の明滅は作業中には目障りだ。
光の明滅の楽しさやムードを評価するならば、音質にもこの光に併せたリラックス感や豊かさを感じさせる設計であればバランスが良く楽しめるのではないかと感じられた。価格は3万2千円(税別)。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年7月16日付]
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