大泉洋 根底には人を笑わせたいという気持ちがある大泉洋インタビュー(下)

日経エンタテインメント!

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2020年版タレントパワーランキングの男優部門で、大泉洋が昨年の4位から一気にトップに躍り出た。男女を合わせた総合も17位から8位にランクアップした。前回のインタビュー「大泉洋、男優初1位 『今までと違う僕の一面出せた』」に引き続き、話を聞いた。

1973年4月3日生まれ、北海道出身。96年にTEAM NACS結成。以降、映画、ドラマ、舞台などで活躍。NHK総合『SONGS』では番組の顔を務める。『探偵はBARにいる』シリーズ、『駆込み女と駆出し男』などで日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞(写真:藤本和史)

7月には、映画『清須会議』(13年)や『真田丸』などで大泉を重用してきた三谷幸喜作・演出の舞台『大地(Social Distancing Version)』に主演。12月11日には『銀魂』『今日から俺は!!』などのヒットメーカー・福田雄一監督と初タッグを組んだ主演映画『新解釈・三國志』が公開される。

次々と話題作への主演が決まっているが、大泉は「座長」という大役に、どのような意識で臨んでいるのか。また自身では今の立ち位置をどう思い、今後、どのような高みを目指していくのだろうか。

「座長ですか。そこは僕の意識の低いところなのかもしれないんだけど、あまり意識したことがないですね。主役に求められるのは、ある種の結果。だから物語を作る段階から責任を持って関わることは大事にしていて、脚本については納得いくまで監督たちと話すし、直してほしいところは直してほしい、と伝える。僕が面白いと思わなければ、主演を務められないのでね。だけどそれくらいで、現場に入ってからは、『とにかく楽しく』。雰囲気良く現場が回るようにするっていうのは、常に考えています。

主演については、確かにここ数年多くて、大変ありがたい話なんですけど。ただ、私ももう47になって、現場で自分が最年長ということも増えてきてるんですね。そうすると、周りが『違うんだよな、大泉さん』と思っても、なかなかそうは言ってもらえない。若い頃だと、きちんと演出してもらえたり、怒られたりしていたわけですけど、だんだんそれがなくなってきているという怖さがありますね。それを大八さん(『騙し絵の牙』の吉田大八監督)は言ってくれたので、僕にとってはありがたかったわけですけど。本当に怖いです。自分で自分の尻をちゃんと叩いて、100点を出していかないと、ヘタすると自分が恥をかいたり、『ダメになったね、あの人』って言われちゃうから」

2つの顔を両立させたい

「今後については、役者として良い作品に巡り合いたい、また『ノーサイド・ゲーム』や『騙し絵の牙』のように、新しい一面を引き出してもらえるような作品に出合いたいっていう、それだけです。

それが、ただ待ってるだけで実現できれば一番いいんだけど、宝くじが当たるように、どんどん良い作品が来るわけではないんですよね。だからスタッフと一緒に、自分でも何か作っていかないといけないな、とは思ってます。それは単純に僕がプロデュースする、監督するっていうだけではなくて。僕たちから動いて、働きかけて、お仕事を任せられる方と作っていく。そういうアプローチも必要なのかな、という気はしています」

『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』(09年)など、TEAM NACSの公演では作・演出も手掛け、映画『青天の霹靂』(14年)に主演した際は、劇団ひとり監督に触発され、「僕も『撮りたい』と思いました」(本誌14年6月号)と語っていた大泉。映画『しあわせのパン』(12年)や『そらのレストラン』のように、今後は事務所も含めて企画段階から関わる作品が増えてきそうだ。

国民的俳優として存在感を増す一方で、今も北海道でバラエティ番組を3本も抱えているのが、大泉のユニークな点だ。昨年12月からは、6年ぶりに『水曜どうでしょう』の新作シリーズ「北海道で、家建てます」も放送されて話題を呼んだ。

「役者としてやっていくんだったら、今や『水曜どうでしょう』は必要悪(笑)。やればやるほど、『水曜どうでしょう』がちらつくとか、映画の役として見ていられない、っていう人がいますからね。だからやらないに越したことはないんだけど、『水曜どうでしょう』からは逃げたくないなっていう思いがあるんですよ。僕の根底には『人を笑わせたい』という気持ちがあるから、『どうでしょう』に出たときには『大泉洋、死ぬほど面白れえ!』って、思ってもらいたい(笑)。そこはどうやら、僕の中では譲れないんです(笑)。それに僕は、役者だけやってても、絶対、飽きてしまうのでね。

だから今後の目標としては、『どうでしょう』みたいな振り切った笑いを作りながらも、役者のときは『どうでしょう』を忘れて見てもらえるような、しっかり演じられる役者になること。それが僕の、永遠のテーマかもしれないです」

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2020年7月号の記事を再構成]

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