大泉洋、男優初1位 「今までと違う僕の一面出せた」大泉洋インタビュー(上)

日経エンタテインメント!

「去年大きかったのは、やっぱり、『ノーサイド・ゲーム』じゃないですかね。ヒット作を続けて出している、TBS日曜劇場の枠。しかも池井戸潤さんの小説が原作で、ラグビーワールドカップの頃に放送されるという、コケるわけにはいかない作品で、僕的には相当、プレッシャーが大きかったです。

(写真:藤本和史)

撮影は『大変だ』とは言われていたけど、実際にやってみたら、やっぱり大変でした(笑)。後半は本当に寝るヒマがなくて、徹夜で撮って、そのまま朝から番宣に行く、みたいな。『そうならないようにしてね』って散々お願いしたのに、そうなってしまいまして(笑)。

でもあの作品で、僕の役者としての新しい一面を見ていただけたっていうのは、大きかったと思いますね。そしてまた改めて、民放ドラマの威力を、まざまざと見せつけられたというか。僕の場合、6年以上だったかな? 民放の連続ドラマに出ていなかったわけです(13年の『シェアハウスの恋人』以来)。NHKさんの朝ドラ(『まれ』)や大河(『真田丸』)には出ていて、それはそれですさまじい威力はあったわけですけど。久々にやらせてもらった民放ドラマで、しかも主演をしたときの爆発力っていうのは、やっぱり大きかったなあと思います」

今年は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本・演出の舞台を映画化した主演作『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』が2月から劇場公開。“偽装夫婦”を演じた小池栄子との絶妙な掛け合いで笑わせた。

3月からは、約2年ぶりの舞台『ART』が開幕。イッセー尾形、小日向文世との三人芝居に挑んだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公演中止に。また、4月から放送予定だった13年ぶりの続編となる連続ドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ系)は6月17日から始まった。

大泉“主演”の小説を映画化

6月の公開が延期となったのが、主演映画の『騙し絵の牙』だ。原作は、作家・塩田武士(『罪の声』『歪んだ波紋』)が、大泉をイメージして“当て書き”した話題の同名小説。監督は、『桐島、部活やめるってよ』(12年)や『紙の月』(14年)などで日本アカデミー賞ほかの映画賞を席巻してきた気鋭・吉田大八が手掛ける。大泉は、大胆な奇策と“人たらし”の才能を生かし、廃刊寸前のカルチャー誌を立て直そうと奮闘する雑誌編集長・速水輝を演じている。

「小説の話を聞いたときは、大変光栄だなと思いながらも、僕の慎重な性格が出て、考えてしまいましたね。『僕をイメージした』と言うと映像化を期待されるけど、『映画やドラマにならなかったらどうしよう』とか、『最終的に俺じゃなく、別の人が演じてたらどうしよう』とか(笑)。

でもまず出来上がった小説が、さすが塩田さんだなと思うような展開と、出版業界への取材の深さ、塩田さんが思う僕の“人たらし”な感じが実に面白く描かれていてとても面白かった。しかもそれを吉田大八さんという、すごい才能の方が映画化してくださることになって、こんなに幸せなことはないなと思いました。

ただ、現場に入ると、大八さんの演出が大変細かくてですね(笑)。僕が演じる上でつい出てしまう癖みたいなものを見抜いて、細かく細かく取っていくんですよ。『ここの間、いらないので取ってください』とか『ここは、一息で言っちゃってください』とか。そこまで矯正する監督は今までいらっしゃらなかったから、大変でしたね。こっちがやりやすいように、お芝居をさせてくれないから。でもおかげで、今までとはちょっと違う、僕の新しい一面が出せたんじゃないかなと思います」

映画『騙し絵の牙』
崖っぷち出版社の雑誌編集長となった速水輝は、大型連載などを仕掛け、廃刊の危機に立ち向かう。その一方で、社内には様々な陰謀が渦巻いていた……。塩田武士の小説を吉田大八監督が映画化。共演は、松岡茉優、宮沢氷魚、池田エライザ、中村倫也、國村隼、佐藤浩市ほか。近日公開/松竹配給 (C)2020「騙し絵の牙」製作委員会

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2020年7月号の記事を再構成]

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