米国で最先端学ぶ若者が見たコロナ禍 研究現場も激変

江 理系の研究分野と違い、ビジネススクールの場合はかなりお金がかかります。スタンフォードだと、学費は2年間で1400万円程度。生活費を含めるとは2千万円は軽く超えます。途上国から来ている留学生のなかには食事代を浮かそうと食事が無料提供されるイベントを探し回るクラスメートもいました。私の場合は孫財団から資金面での支援を受けていたので非常に助かりました。

米国のビジネススクールにくると、価値観の異なる多様な人材のなかで自分が磨かれ、リーダーシップなどが養われます。財団以外にも様々な人材支援や奨学金制度があります。早川さんや成田さんらと海外留学支援のため団体「Seldoon」を立ち上げ、進路相談や各制度の紹介など始めました。

江さんが立ち上げた留学支援団体では小中高生向けの海外体験プログラムも展開している

――米政府がオンライン授業のみを受講する留学生には学生ビザを発給しない、と7月初旬に発表しましたが、内外の強い批判を受けてすぐに撤回するという出来事がありました。

江 現在米国では経済活動再開に向けて動いている連邦政府と、再開に慎重な一部州政府という対立構造があるのですが、今回の連邦政府の動きは大学側に再開を促すための施策ではないかという憶測も聞こえてきます。

ここ数か月で非アメリカ国民に対する入国規制は厳しくなっています。一度米国を出ると次いつ戻ることができるのか不透明なため、留学生は大きな不安を抱えています。特に途上国から来た学生は自国でネット環境が整っていない場合、まともにオンライン授業を受けることができません。

早川大智さん

早川 都市圏にある大学の多くがオンライン移行を決めた段階での発表で驚きました。例えば、ハーバード大学は発表の数時間前に秋学期の授業を全面オンラインに移行するとアナウンスしたばかりでした。帰国してオンラインで授業を受ける場合、多くの障壁があります。ネット環境を実家で整備したり、時差を乗り越え授業に参加する必要も出てきます。

コロナの影響によって経済的、心理的な余裕がなくなり、これまでくすぶっていた問題が顕在化してきている気がします。人々の多様性を基盤として国家を築いた米国ですが、このような状況下で国内での混乱や対立が強まっています。11月に大統領選が控えていることもあり、今後の施策、特に留学生や外国人労働者への対応を注意深く見ていかなければならないと考えています。

9月入学「メリット感じない」

――コロナをきっかけに、日本政府では入学時期を海外の教育機関に合わせようと、9月入学の導入を検討しましたが、見送りになりました。

成田 9月入学にメリットは感じません。半年程度のギャップイヤーがあった方がいいと思います。その期間にこれまでできなかったことができるので。

早川 私もそう思います。留学準備で様々な手続きがいるので、卒業してすぐ渡米するのは大変です。ただ、夏休みなど長期の休暇は日本と欧米では2カ月ぐらいズレているので、海外のインターンシップ生を採用するといった点においては合わせた方が便利だと思います。

江 9月入学を導入した場合、学習期間が延びた5カ月間の追加負担が小学校から大学まで合わせて3兆9千億円かかるという試算があるそうですが、その予算があるならば、より本質的な教育の質向上に使ったほうがいいのではないでしょうか。

(聞き手は代慶達也)

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