米国で最先端学ぶ若者が見たコロナ禍 研究現場も激変

――これから世界はどう変わると考えますか。

成田海さん

成田 研究面からいえば、情報発信のやり方が大きく変わっていきます。これまで研究論文は学術雑誌に投稿され、厳しい査読(専門家による検証)を受けて公表されました。しかしコロナ禍の中でウイルスに関する情報は各国・地域の研究者からSNS(交流サイト)でリアルタイム発信されています。また、情報共有を早めるために、査読を経ずに公開されるArXiv(アーカイブ)と呼ばれる仕組みも普及し始め、全世界で情報を共有、ワクチンなど予防対策につなげる動きがあります。

早川 私は東海岸に住んでいますが、オンライン化で西海岸や欧州の研究者と一段とつながりやすくなりました。ただ、研究では実験が欠かせない。実験スキルを後輩に伝承しなくてはいけないのですが、外出規制でそこが難しくなりました。今はユーチューブやビデオジャーナルを通じた実験動画が増えています。今後も色々な形で動画での発信が増えていくと思います。

江 実は私の両親は中国にいます。中国では店舗の半数を閉めて、ネット通販を強化して売り上げを逆に2倍にした企業も出ています。オンライン化の進展で米国でも新たなイノベーションが起ころうとしています。リーマン・ショック後は既存の金融機関に対する不信から金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックが台頭しましたが、今回はヘルステックが大きく伸びる予感があります。

――米国で新たに伸びているビジネスはありますか。

江 ビデオ会議システム「Zoom」は日本でも一気に普及しましたが、リモートワークでブレインストーミングをする際に使うソフト「Mural」を導入する企業が増えています。また「Asana」というタスク管理アプリも注目ですね。リモートワーク下でチーム内の仕事の内容、役割を可視化し、生産性を向上するのが狙いです。ヘルステックでは遠隔診療大手のテラドックのサービスが伸びています。この分野にはアマゾンも「アマゾンケア」として従業員向けに遠隔治療サービスを展開しています。コロナ禍でうつ病も増えているようなので「心のケア」対応の遠隔診療サービスも焦点になっています。

今こそ人脈形成が必要

――コロナ禍のなかで海外留学が厳しくなっています。一方、オンライン化で日本でも海外の大学の授業が受けられるケースが出てきています。3人は孫正義育英財団の支援を受けていますが、通常、留学の費用はかなり高額な負担になると思います。わざわざ現地の大学へ行くメリットはありますか。

成田 私はカリフォルニア工科大学大学院で研究をしていますが、研究者には給料がもらえます。学費も免除ですから十分な生活できます。私が特別ではなく9割以上の研究者はおカネで困ることはありません。全米から著名な研究者が毎週セミナーに参加して気軽にランチしてくれて、様々な議論もできます。人脈形成の意味でも現地に留学するメリットは大きいと思います。

早川 まさに人脈形成が大事です。まずは師弟関係をつくり、研究者のコミュニティに入らないと、オンラインでのやり取りもできず、世界最先端の研究には参加できません。

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