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米国で最先端学ぶ若者が見たコロナ禍 研究現場も激変

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルス感染者数が世界最多の米国。経済は失速し、街には失業者があふれている。一方でオンライン化が一気に進み、新たなイノベーションも起ころうとしている。米国で最先端を学ぶ若者はこの事態に何を思い、今後どうなると見ているのか。優秀な若者などの研究活動を支援する財団法人「孫正義育英財団」のメンバーで、米国に留学した3人にオンラインで聞いた。(座談会は孫正義育英財団の協力を得て6月に実施した)

<3人のプロフィル>
江あきさん(スタンフォードビジネススクール修了) 東京大学経済学部卒。2013年、A.T.カーニー入社。17年にスタンフォードビジネススクールで経営学修士号(MBA)取得。現在はシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)「WiL」でエコノミストとして活躍。
早川大智さん(ブランダイス大学大学院) 17年に東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程を修了、同年から米ボストンのブランダイス大学院物理学専攻のPhD(博士)課程へ。「生き物のように振る舞う無機的なシステム」を作る研究をしている。
成田海さん(カリフォルニア工科大学大学院) 東京工業大学大学院修士課程にて材料化学を専攻し、16年に修了。同年、カリフォルニア工科大学院で材料科学PhD(博士)課程に進学。現在は特に生分解性電池や蓄電池の開発に取り組んでいる。

研究現場で急速に進むオンライン化 実験動画増える

――コロナ禍のなかで、米国ではどんな変化が見られますか。皆さんの身の回りではどんな影響がありましたか。

江 私は今、シリコンバレーで働いていますが、ネットを介して物品を購入する比率はわずか8週間で10ポイントも上昇するなどオンライン化が一挙に進み、生活スタイルががらりと変わっています。「GAFA」は優秀な人材を集める好機とみていて、例えば米アマゾン・ドット・コムは2万人のテック人材の採用募集を発表しました。

ただ、米国全体の失業者数は増え続けており、身の回りでも、レストランなどの店舗から閉鎖・倒産を連絡するメールや手紙が来ますし、元クラスメートが解雇された話なども聞きます。一方で時期尚早な経済活動の再開は感染拡大に繋がるので不安です。ベイエリアでは外出自粛期間が4か月以上になるので、しびれを切らした人々は外に出始めています。

成田 徐々に大学も研究を目的とした活動に対して再開の動きがありますが、実際に行けるのはその大学内の上の学年の人や期日の迫ったプロジェクトに関わる人のみです。私は幸いにも部分的に大学へ行くことができているのですが、研究や生活のスタイルを変更せざるを得ません。米国の特徴でもある機関の垣根を越えたオープンファシリティ(共用の研究設備など)の利用はまだ制限されています。また、大学の経済状況も厳しく、オープンファシリティの有料化や値上がりがあったり、PhD学生や教授の新規受け入れを見送る大学も出たりしています。

――これから世界はどう変わると考えますか。

成田 研究面からいえば、情報発信のやり方が大きく変わっていきます。これまで研究論文は学術雑誌に投稿され、厳しい査読(専門家による検証)を受けて公表されました。しかしコロナ禍の中でウイルスに関する情報は各国・地域の研究者からSNS(交流サイト)でリアルタイム発信されています。また、情報共有を早めるために、査読を経ずに公開されるArXiv(アーカイブ)と呼ばれる仕組みも普及し始め、全世界で情報を共有、ワクチンなど予防対策につなげる動きがあります。

早川 私は東海岸に住んでいますが、オンライン化で西海岸や欧州の研究者と一段とつながりやすくなりました。ただ、研究では実験が欠かせない。実験スキルを後輩に伝承しなくてはいけないのですが、外出規制でそこが難しくなりました。今はユーチューブやビデオジャーナルを通じた実験動画が増えています。今後も色々な形で動画での発信が増えていくと思います。

江 実は私の両親は中国にいます。中国では店舗の半数を閉めて、ネット通販を強化して売り上げを逆に2倍にした企業も出ています。オンライン化の進展で米国でも新たなイノベーションが起ころうとしています。リーマン・ショック後は既存の金融機関に対する不信から金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックが台頭しましたが、今回はヘルステックが大きく伸びる予感があります。

――米国で新たに伸びているビジネスはありますか。

江 ビデオ会議システム「Zoom」は日本でも一気に普及しましたが、リモートワークでブレインストーミングをする際に使うソフト「Mural」を導入する企業が増えています。また「Asana」というタスク管理アプリも注目ですね。リモートワーク下でチーム内の仕事の内容、役割を可視化し、生産性を向上するのが狙いです。ヘルステックでは遠隔診療大手のテラドックのサービスが伸びています。この分野にはアマゾンも「アマゾンケア」として従業員向けに遠隔治療サービスを展開しています。コロナ禍でうつ病も増えているようなので「心のケア」対応の遠隔診療サービスも焦点になっています。

今こそ人脈形成が必要

――コロナ禍のなかで海外留学が厳しくなっています。一方、オンライン化で日本でも海外の大学の授業が受けられるケースが出てきています。3人は孫正義育英財団の支援を受けていますが、通常、留学の費用はかなり高額な負担になると思います。わざわざ現地の大学へ行くメリットはありますか。

成田 私はカリフォルニア工科大学大学院で研究をしていますが、研究者には給料がもらえます。学費も免除ですから十分な生活できます。私が特別ではなく9割以上の研究者はおカネで困ることはありません。全米から著名な研究者が毎週セミナーに参加して気軽にランチしてくれて、様々な議論もできます。人脈形成の意味でも現地に留学するメリットは大きいと思います。

早川 まさに人脈形成が大事です。まずは師弟関係をつくり、研究者のコミュニティに入らないと、オンラインでのやり取りもできず、世界最先端の研究には参加できません。

江 理系の研究分野と違い、ビジネススクールの場合はかなりお金がかかります。スタンフォードだと、学費は2年間で1400万円程度。生活費を含めるとは2千万円は軽く超えます。途上国から来ている留学生のなかには食事代を浮かそうと食事が無料提供されるイベントを探し回るクラスメートもいました。私の場合は孫財団から資金面での支援を受けていたので非常に助かりました。

米国のビジネススクールにくると、価値観の異なる多様な人材のなかで自分が磨かれ、リーダーシップなどが養われます。財団以外にも様々な人材支援や奨学金制度があります。早川さんや成田さんらと海外留学支援のため団体「Seldoon」を立ち上げ、進路相談や各制度の紹介など始めました。

――米政府がオンライン授業のみを受講する留学生には学生ビザを発給しない、と7月初旬に発表しましたが、内外の強い批判を受けてすぐに撤回するという出来事がありました。

江 現在米国では経済活動再開に向けて動いている連邦政府と、再開に慎重な一部州政府という対立構造があるのですが、今回の連邦政府の動きは大学側に再開を促すための施策ではないかという憶測も聞こえてきます。

ここ数か月で非アメリカ国民に対する入国規制は厳しくなっています。一度米国を出ると次いつ戻ることができるのか不透明なため、留学生は大きな不安を抱えています。特に途上国から来た学生は自国でネット環境が整っていない場合、まともにオンライン授業を受けることができません。

早川 都市圏にある大学の多くがオンライン移行を決めた段階での発表で驚きました。例えば、ハーバード大学は発表の数時間前に秋学期の授業を全面オンラインに移行するとアナウンスしたばかりでした。帰国してオンラインで授業を受ける場合、多くの障壁があります。ネット環境を実家で整備したり、時差を乗り越え授業に参加する必要も出てきます。

コロナの影響によって経済的、心理的な余裕がなくなり、これまでくすぶっていた問題が顕在化してきている気がします。人々の多様性を基盤として国家を築いた米国ですが、このような状況下で国内での混乱や対立が強まっています。11月に大統領選が控えていることもあり、今後の施策、特に留学生や外国人労働者への対応を注意深く見ていかなければならないと考えています。

9月入学「メリット感じない」

――コロナをきっかけに、日本政府では入学時期を海外の教育機関に合わせようと、9月入学の導入を検討しましたが、見送りになりました。

成田 9月入学にメリットは感じません。半年程度のギャップイヤーがあった方がいいと思います。その期間にこれまでできなかったことができるので。

早川 私もそう思います。留学準備で様々な手続きがいるので、卒業してすぐ渡米するのは大変です。ただ、夏休みなど長期の休暇は日本と欧米では2カ月ぐらいズレているので、海外のインターンシップ生を採用するといった点においては合わせた方が便利だと思います。

江 9月入学を導入した場合、学習期間が延びた5カ月間の追加負担が小学校から大学まで合わせて3兆9千億円かかるという試算があるそうですが、その予算があるならば、より本質的な教育の質向上に使ったほうがいいのではないでしょうか。

(聞き手は代慶達也)

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