虹色の彩雲・雪の結晶… 美しき「雲の科学」気象庁 気象研究所 荒木健太郎(1)

興味津々で、茨城県つくば市長峰にある気象研究所を訪ねた。

荒木さんの研究室は、予想にたがわぬ「雲愛の世界」だ。壁一面に様々な雲の写真が美しくレイアウトされた上で「展示」されており、展覧会さながらともいえる。

壁一面がフォトギャラリー!

研究について伺うべきが、まずは写真の撮り方を指南してもらうことになった。

衝撃だったのは、別にすごい機材を使っているわけではない、ということ。

「彩雲は、コンパクトデジタルカメラです。40倍くらいに拡大して、色づいているところだけを撮るとこんなふうになるんですよね。それから、霜や雪の結晶の写真は、スマホのカメラに100円ショップで売っているマクロレンズのアダプタをつけて撮っているんです」

まったく、心底驚いた。

まず、彩雲というのは、文字通り、七色に色づいた雲のことで、その気になって探せば、日常的に見られる。太陽の近くに薄い雲がかかっている時に、その端のあたりに注目するべし。太陽を直接見るのは避けなければならないが、雲が太陽にかかったらチャンスで、そのまわりを探してみるといい。本気で探せば、毎日のように見える。

「たしかに、珍しいと思われがちですけど、季節や場所を問わず頻繁に出会えます。太陽から視角度10°以内のあたりが多いです。ちょっと詳しく言うと、雲を作る雲粒子が、氷晶ではなくて、水で出来ている場合にだけ見えるんですが、特に見つけやすいのは、もこもこした積雲の縁ですかね。例えば、太陽が積雲に隠れたタイミングで雲の輪郭付近を見ると、だいたい彩雲がいます。巻積雲や高積雲と呼ばれる上層、中層の雲で、レンズ状やアーモンド状になったものですと、大規模に広がって天女の羽衣みたいなものも、時々、見られますよ」

実は頻繁に出会える彩雲。形もさまざまだ(写真提供:荒木健太郎)
写真提供:荒木健太郎

雲は、大気中に浮いている水の粒や氷の粒が集まってできている。彩雲は、水の雲で起きる回折現象なので、それを選ばないと見えない。ぼくが彩雲観察をはじめた初期に目安にしていたのは、目に見えて動いている雲は低いところに出来ているので水雲が多く、それが太陽にかかると縁が七色に色づくということだろうか。でも、どのみち雲は水か、氷か、両方混ざっているかなのだから、とりあえず、太陽が雲にかかっている時に雲の縁を見るだけでも、彩雲に会う確率は格段にあがる。本当にしょっちゅう出ているのだから。

そして、撮影には、40倍くらいの望遠機能がついたコンデジがよい。それが荒木さんの助言だ。これはぼくにとっては盲点で、もっと広角の絵を撮ろうとしていた。でも、それだと太陽のまわりの明るい部分に露出が引きずられて、繊細な七色の彩りのディテールが飛んでしまう。ぼくがうまくいかないと感じていたのは、つまり、そういうことだったのだ。

「ただ、注意してほしいんですが、観察する時には必ず建物などで太陽を隠してください。太陽からの直接光を裸眼で受けると眼を傷めてしまいますし、その方が探しやすくなります。太陽をうまく隠せば、実はスマホでもきれいに撮影できることがあります。太陽の出ている空で虹色を探す時はサングラスを着用しておくと安心です。建物以外でも街灯や信号機などでうまく太陽だけが隠れるところに移動したり、工夫してみるといいと思います」

そのようなかんじで、とんでもなく美しい彩雲は、想像していたよりもはるかに気軽に撮影されていたことが分かった。ちょっと興奮してしまった。

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