虹色の彩雲・雪の結晶… 美しき「雲の科学」気象庁 気象研究所 荒木健太郎(1)

ナショナルジオグラフィック日本版

気象庁気象研究所で雲の科学を研究する荒木健太郎さん
文筆家・川端裕人氏がナショナル ジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」は、知の最先端をゆく人物に専門分野の魅力などを聞く人気コラムです。今回転載するのは、アニメ映画「天気の子」(2019年公開)の気象監修を務めた荒木健太郎さんが「雲の科学」を語るシリーズ。夏にはちょっと涼しい雪の結晶の話題から、危険な集中豪雨をもたらす積乱雲の予測まで、美しい画像とともに解説してくれます。

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心打たれる美しい光景を見せてくれる一方で、嵐や大雪などの災害をもたらす雲。そんな雲をまるごと愛し、素晴らしい写真を日々公開しつつ、防災への貢献を目指して雲の仕組みの解明に取り組む荒木健太郎さんの研究室に行ってみた!(文 川端裕人、写真 内海裕之)

雲を眺めるのが好きだという人は多い。

ただ見ているだけで楽しいし、想像力をかき立てられる。ぼく自身、子どもの頃、雲は綿飴かもしれないと考えてあまーい夢にひたったり、ふかふかした雲に乗りたいと願ったりしていたのを思い出す。長じても、かなりの「雲好き」だという自覚があり、空を見渡せるような格好の雲観察場所にいさえすれば、ひがな一日、雲を見て過ごせる。

荒木さんが撮影した彩雲(写真提供:荒木健太郎)

けれど、ぼくの今の環境では、それがなかなかかなわない。まわりを住宅に囲まれて、少しでも空を見るためには、近所の月極駐車場まで足を運ぶ必要がある。気軽に雲を見ることができず、雲ロス状態になってしまう。

そんな状況下で、一服の清涼剤となるのが、ツイッターアカウント@arakencloudだ。あるいは、Facebookで「荒木健太郎」をフォローすればいい。これでもか、というくらい美しい雲の写真をアップしてくれており、まさに眼福につきる。雲を愛でる「雲愛」の欲求を満たすことができる。

と同時に、なぜこんな写真が撮影できるのかと不思議に思う。特に、雲が虹色に色づく彩雲(詳しくは後述)の写真は、自分が撮影してもこんなふうにはならない! と嫉妬を覚えるほどだ。

これらのアカウントの主、荒木健太郎さんは、気象庁気象研究所の研究官であり「雲研究者」である。その専門知識を活かし、素敵な写真をアップし続けている。冬になると、雲だけではなく地上に落ちてきた雪の結晶や、霜など、問答無用に美しい写真を日々、公開しており、目を奪われるばかりだ。

この人はいったいなんなんだ。最初の時点では研究者というより、超絶的な写真テクの持ち主として認識していたわけだが、荒木さんがTwitterで、「#関東雪結晶」や「#霜活」というタグをつけて発信している内容を見て、おおっと身を乗り出した。なんとこれはネットを利用した市民参加型の気象研究なのだという。

つまり、荒木さんはものすごい写真の撮り手であるだけでなく、それすらも研究の一部、というたぐいの研究者なのだ。

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