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メガトレンドを理解するためのデータを集めて分析した

メガトレンドを理解するためのデータを集めて分析した

コロナ、異常気象、海洋汚染、食糧危機……。人間の力でコントロールすることの難しい地球規模のリスクが拡大している。激しい変化を生む「メガトレンド」は私たちをどこへ運ぼうとしているのか――。今回紹介する『データでわかる 2030年 地球のすがた』は、SDGs(持続可能な開発目標)の専門家が世界の危機について分析した一冊だ。吟味されたデータと知識が満載の本書は、不確実の時代を切り開くビジネスパーソンの羅針盤となるだろう。

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夫馬賢治氏

夫馬賢治氏

著者の夫馬賢治氏はニューラル(東京・品川)のCEO(最高経営責任者)。サステナビリティ経営やESG(環境・社会・企業統治)投資に関するコンサルティングやアドバイザリー業務を展開しています。持続可能な世界をテーマとするニュースサイト「Sustainable Japan」の編集長も務めています。東京大学教養学部(国際関係論)卒。米ハーバード大学大学院リベラルアーツ(サステナビリティ専攻)修士で、米サンダーバード・グローバル経営大学院でMBA(経営学修士)を取得しています。著書『ESG思考』(講談社+α新書)では、グローバル企業や機関投資家のサステナビリティ経営を詳細に分析しました。

グローバル企業に危機感

企業や投資家が担い手となっている資本主義社会は「貧富の格差を拡大する」「地球環境を破壊する」という具合にしばしば批判されてきました。しかし最近は流れが大きく変化しています。グローバル企業が積極的にサステナブル経営を推進しているのです。SDGsやESGに取り組む動きも広がってきました。もはや「一過性のブーム」とか「イメージアップ戦略」ではありません。企業や機関投資家の間で、それだけ、危機感が強まっています。

本書の特徴は「データに語らせる」というスタイルを貫いていることです。18年から19年にかけて世界的なベストセラーになった『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』で広く人々の共感を得た「データを基に世界を正しく認識する習慣を身につける」という考え方に沿っています。

機関投資家が大きな関心を寄せている8つのテーマを取り上げ、関連するメガトレンドについて解説しています。「気候変動」「農業」「森林」「水産」「水」「感染症」「パワーシフト」「労働・人権」がその8分野です。著者は、国際機関や大学、企業の集めたデータに加えて作家、ジャーナリストによる調査・ルポなどにも幅広く目配りしています。カラー図解やグラフも豊富で、問題の所在をビジュアルでも捉えられます。

第1章は「顕在化した気候変動の猛威」。この問題、皆さんはどの程度深刻だと感じていますか。「地球温暖化といっても、気温が2度くらい上がる程度でしょ。たいしたことないよ」。こんな見方があるかもしれません。これに対して著者はデータを示します。「国際機関の予測では、海面が5メートル上昇、東京も大阪も海に沈むリスクを抱える。(2300年見通し)」。これが「世界のリアル」なのだと警告するのです。

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