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ヘビのような両生類 謎だらけのイモリ、毒液も持つ?

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ナショナルジオグラフィック日本版

アシナシイモリは、歯の生えたミミズのような見た目の両生類だ。四肢がなく、滑らかで光沢のある皮膚をもち、それだけでもヘビを思わせるが、似ているのは外見だけではないかもしれない。彼らの一部は唾液に毒を含む可能性があることが、新たな研究で判明した。この発見に科学者たちは驚いている。本当だとすれば、「唾液に毒」は両生類では初めてのことなのだ。

アシナシイモリは世界の熱帯に200種近くが生息している。カメルーンにいる体長9センチほどの種から、1.5メートル近くあるコロンビアの種まで、大きさも様々だ。

ほとんどは地中で暮らしているため、「アシナシイモリは脊椎動物の中で最も知られていないグループかもしれません」と、ブラジル、サンパウロにあるブタンタン研究所の進化生物学者カルロス・ジャレージ氏は言う。中には暗闇での生活に適応し、目が完全に退化した種もあるという。氏らの論文は2020年7月3日付の学術誌「iScience」に発表された。

アシナシイモリは、先のとがった歯が上顎に2列、下顎に1列の計3列あり、ミミズや節足動物などを捕食する。そのことはすでに知られていたが、ジャレージ氏は、ブラジル国内で捕獲されたアシナシイモリを観察していたとき、それまで一度も報告されたことのない分泌腺を歯の近くに発見した。唾液に加え、有毒な酵素を分泌しているかもしれない腺だ。ただし、この唾液が実際に毒性をもつかどうかを確かめるには、さらなる分析が必要だと同氏は注意を促す。

もしこれが毒だとすれば画期的なことだと、オーストラリア、アデレード大学の進化生物学者エマ・シェラット氏は話す。なお、氏は本研究には関わっていない。

一つは、攻撃に使う毒(触ると危険な防御用の毒と区別)が両生類と爬虫類で独立して進化したことになること。毒の進化に関する従来の説が書き換わる可能性がある。同時にもう一つ、カエルやサンショウウオの唾液にはなぜ毒がないのかという問題も浮上する。

攻撃用の毒をもつ両生類として他に唯一知られているのは、グリーニングス・フロッグ(Corythomantis greeningi)というカエルで、やはりブラジルに生息し、顔にある毒腺と鋭い突起で相手を刺す。

穴掘りの名人

科学者たちは1935年の時点で、「Hypogeophis rostratus」というアシナシイモリの歯のあたりに分泌腺があることを記録している。しかし、彼らはそれを、よくある粘液の分泌腺と考えた。

ジャレージ氏によれば、例えばアシナシイモリの頭にある分泌腺は、地中を移動しやすくする潤滑液を分泌する。一方、尾には防御用の毒を出す分泌腺があり、捕食者が地中を追ってくることを阻んでいると考えられている。

調査を率いた、同じくブタンタン研究所の進化生物学者ペドロ・ルイズ・マイリョ=フォンタナ氏らは、本研究のために2匹のアシナシイモリ(Siphonops annulatus)の成体から唾液のサンプルを採取し、どのような化学物質が含まれるかを分析したところ、「ホスホリパーゼA2」という酵素群が含まれていた。スズメバチやサソリ、ヘビなど、攻撃用の毒を持つ生物に広く見られるものだ。

論文によれば、調査チームは4匹について分泌腺の物理的構造を調べ、そのうち2匹は電子顕微鏡で観察した。

マイリョ=フォンタナ氏は、もっと多くの個体で調査したかったものの、アシナシイモリを見つけることは容易ではないのだと話す。穴を掘り、潜ることに長けたアシナシイモリは、1匹捕まえるのに20時間かかることもあるそうだ。

なぜ唾液に毒?

サンプルをさらに入手することができれば、生化学や薬理学の研究者と協力して、分泌腺の真の機能を調査したいとマイリョ=フォンタナ氏は望んでいる。それでも氏は現時点で、アシナシイモリの唾液は、巨大なミミズを捕食する際に相手を無力化したり、消化したりするのに役立っているはずだと考えている。

生物の毒と聞くと、多くの人がハチの針やヘビの牙を思い浮かべるが、マイリョ=フォンタナ氏によれば、唾液から進化した毒は多いのだという。口内の液体は当初、潤滑剤の役割を果たしたのかもしれない。それが消化を助けるようになり、最終的には他の生物に危害を加える機能も獲得した。唾液に毒がある生物には、ヘビやコモドオオトカゲのほか、哺乳類ではトガリネズミやスローロリス、コウモリなどがいる。

エクアドルを拠点に爬虫類や両生類の観察ツアーを提供する「トロピカル・ハーピング」の社長で生物学者のアレハンドロ・アルテアガ氏は、映画『エイリアン』のようなアシナシイモリの口でかまれたことが何度もあるという。しかし、「歯が食い込む物理的な痛みを直ちに感じる以外の」問題があったことはないという。

氏は、もしアシナシイモリに毒があるとすれば、捕食者から身を守るためではなく、獲物を捕らえたり消化したりするためだろうという著者らの説に賛成している。

「いつも驚かされるのです」

英スウォンジー大学の進化毒物学者ケビン・アーバックル氏は、アシナシイモリの研究が未開拓であることを考えれば、彼らが攻撃用の毒を持っているというのは「確かにありえる」ことだと言う。

ただし、今回の酵素の分析については「そこまで説得力のある」ものではないと批判する。「どんな口内の分泌腺も、ここに挙げられたものを含め、幅広い酵素を分泌します」。言い換えると、ホスホリパーゼA2の酵素群が唾液に含まれていたとしても、毒ではないかもしれないということだ。

「とはいえ、間違いなく面白い論文ですし、これに刺激されて多くの研究が後に続き、まだ謎の多い脊椎動物についての知見が大いに増えることになるでしょう」と氏は言う。

シェラット氏は、この論文を「確実な貢献」だとしつつ、「答えよりも疑問のほうが多く残る」ものだと評する。

「でも、それがアシナシイモリというものです」とシェラット氏は話す。「彼らにはいつも驚かされるのです」

(文 JASON BITTEL、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年7月8日付]

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