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調味料まで自家製の本格的な四川料理店 東京・吉祥寺

2020/7/27
「北海道産鱈(タラ)白子入り本場四川の麻婆豆腐」
「北海道産鱈(タラ)白子入り本場四川の麻婆豆腐」

東京・吉祥寺。JR中央線文化の重要な役割を担う魅力的な街として、多くの若者がつどい、新たな音楽や芸術を生んできた。しかし、ここ10年、大型家電店や安売り量販店の出店が相次いだことにより街の風景も変わってきた。飲食店も例外ではない。景況もかんばしくないなか、止まらぬ地価上昇により個人店を開店する店主が減り、駅の周辺では大規模・中規模のチェーン店が軒を連ねる。

舌の肥えた吉祥寺マダムからはおいしい店、食べに行きたい店が少なくなってしまったという嘆きがもれているという。そんななか、2018年12月の開店当初から注目され、連日満席の続く四川料理店がある。「中國菜 四川 雲蓉(ユンロン)」。原宿「龍の子」、麻布十番「中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)」など国内の名店のほか、中国・四川省にて本場の伝統料理を学んだ北村和人さんの店だ。

Summary
1.四川料理の名店で修業したシェフが、東京・吉祥寺で開店
2.ガラスープ、ラー油、トウバンジャンなど 作れるものはすべて自家製
3.時間をかけて仕込む料理は現代の中国でもなかなかないクオリティー

「東急百貨店 吉祥寺店」横、大正通りに面する中国印鑑店「青雲堂」は北村さんの実家であり、80年続く老舗。「吉祥寺に生まれ吉祥寺の街に育てられた」と語る北村さんは街に恩返しするつもりで吉祥寺での独立を決意。

印鑑店の現店主である北村さんの父はその思いを汲み、店舗を改装。印鑑店のスペースを縮小し、店舗の大部分を飲食店として使えるよう明け渡してくれた。

凝り性の父が休日にふるまってくれる絶品の手料理を食べて育ってきた北村さんにとって、料理人を目指すのはごく自然なことだったという。

高校時代から吉祥寺にあった中国料理店でアルバイトを始めた北村さんは、ある日、人生を変える料理に出合う。それが「龍の子」の麻婆豆腐と坦々麺だ。

「そのおいしさといったら、衝撃的でした。それまで曲がりなりにも中国料理店で働いてきた自分でしたが、今まで自分が作ってきたものは一体なんだったんだ、と。手の震えが止まりませんでした」(北村さん)

今でも北村さんにとっての四川料理の魅力とはその日に受けた衝撃そのものなのだという。

しかし、当時の飲食業界の厳しさは予想をはるかに超えていた。早朝から深夜まで叱咤(しった)されながら激務をこなす。その厳しさに心折れそうになる北村さんを支えたのは、ほかでもない父だった。

職人の厳しさを知る父は毎晩、夜中に車で迎えにきてくれ、「せっかく素晴らしい店に入れたのだから頑張れ、辞めるな」と北村さんを励まし続けた。家族のサポートを受け、北村さんは前を向いて歩んでこられたという。

「野菜は中国野菜など一部を除いて、武蔵野・三鷹の新鮮な地元野菜を購入しています。一般に流通する野菜は収穫から何日もたったものも多く、『新鮮な野菜』ということには大きな価値があります。また、ラー油、ネギ油、サンショウ油などの油や、トウバンジャン、テンメンジャンなど手作りできるものは可能なかぎりすべて手作りです」と北村さんは胸を張る。

では「雲蓉(ユンロン)」の料理を紹介していこう。

豚の脳みその入った麻婆豆腐に感動した日本の四川料理界の重鎮が、脳みその代わりに白子を使って再現した

「北海道産鱈(タラ)白子入り本場四川の麻婆豆腐」は日本の四川料理界の重鎮である師・安川哲二氏が四川を訪れた際、豚の脳みそが入った麻婆豆腐のおいしさに感動し、帰国後に白子を脳みそに見立てて再現したのがルーツだ。

ビリっとしたサンショウとトウバンジャンの辛味をぷりぷりの白子が中和させ、箸が止まらなくなるひと品。大ぶりのタラの白子は塩をふり脱水させてから酒と塩を入れた水でボイル。豆腐は福島県の特産「川俣(かわまた)シャモ」の鶏ガラと鶏の足(モミジ)からとったスープでボイルする。

牛と豚のひき肉にはテンメンジャンとしょうゆで下味をつけるが、その後の味付けは自家製のトウバンジャンのみ。酒も砂糖も必要なし、トウバンジャンの力と深みが麻婆豆腐の味を決める。白子は麻婆豆腐と最後に合わせて、食感をそこなわないようにしている。

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