「ほとんど門前払い」外国人就活生 コロナで内定遅れ就活探偵団

マイナビの調査では外国人留学生に日本の就職活動で不安に思っていることを複数回答で聞いたところ、新型コロナの影響による「採用縮小」を挙げた人が67%と最も多かった。

環境が厳しさを増している中、外国人留学生を支援しようとする動きも広がる。

「『就活の軸』はどう答えるのがベストですか」。マイナビは7月上旬、留学生向けの就活ガイダンスを開いた。参加者はタイやベトナム、インドネシアの出身者など9人。約1時間にわたり、マイナビの担当者が日本の就活の仕組みを説明し、一人ひとりの質問にも丁寧に答えた。

日本企業は外国人の採用においても日本人向けと同じ面接手法を用いる。そのため会話は留学生にとっては「かなり難しくどう答えていいかわからない」(中国出身の学生)と感じることが多い。そのためイベントでは「短所は何かと聞かれても、単に短所だけを述べてはダメ。長所も交えて話しましょう」「質問の意図をしっかり読みましょう」など、実践で役立つアドバイスをする。

新型コロナの影響で対面の留学生向けイベントは相次ぎ中止され「情報不足から不安を抱く留学生が非常に多い」(マイナビ)。今後はエントリーシートの書き方や就活マナーについての講座も開いていくという。

採用支援会社のフォースバレー・コンシェルジュ(東京・千代田)は企業から内定を取り消された外国人を対象にした就職支援サービスを始めた。外国人を積極的に採用する企業を紹介し、日本での就職を支援するという。

同社によると日本の入国制限により、多くの外国人材が日本企業の内定を持っているにもかかわらず現地で足止めされていて、やむを得ず自ら内定を辞退する学生も出ているという。

コロナ禍で外国人学生の就活には日本人学生以上に遅れが出ている(写真は2018年の就職フェア)

イノベーション人材に

企業の外国人に対する期待は、人手不足を補うことだけではなかったはずだ。画一的になりがちな会社組織に多様性をもたらし、新規事業を興すような成長力を取り戻すことはその一つだろう。

「優秀な外国人を採りやすい環境になるのでは」。スマートフォン向けサイトやアプリなどを提供するエムティーアイ人事部の林愛也マネージャーはこう期待を寄せる。新型コロナで多くの会社が外国人採用を見送るのを横目に、20年卒は4人だった外国人採用を21年卒は10人にする目標を掲げる。

同社では女性向けの健康情報サービス「ルナルナ」や体のデータを管理できるアプリなどヘルスケア事業に力を入れている。変化の激しい業界のため、既存事業を回すだけでは企業としての成長は期待できない。そこで日本人にはない、外国人特有の感性などを活用し「イノベーションを起こしてもらう」(林マネージャー)のが採用の目的だという。

7月4日に開いたオンラインの説明会には、想定を大きく上回る留学生400人がエントリーし手応えを感じている。

日本学生支援機構によると、大学や大学院を出た留学生は、18年度時点で約2万8千人に達する。大卒人口が頭打ちになるなか貴重な存在だ。

「日本の文化が好き」「最先端の技術を学びたい」――。日本を愛し、興味を持ってくれた外国人学生の熱意や意欲をこのまま逃してしまうのは、あまりにももったいない。

(企業報道部 鈴木洋介、矢崎日子)

[日経産業新聞 2020年7月15日付]

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