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再生696万回のWeb動画「話そう。」 サントリーの思い

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日経クロストレンド

新型コロナウイルス感染拡大を受け外出自粛が強いられた5月上旬、サントリーは37人の著名人が語り合うWeb動画「話そう。」を公開し話題を呼んだ。このプロジェクトの実施は、同社が飲料を通じて大切にしてきた「コミュニケーション」の重要性を今こそ伝えるべきだと考えたことがきっかけだった。

著名人たちが「会話を楽しむ」動画が話題

新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛は、飲食業界に大きな影響を与えた。飲食店はテークアウトやデリバリーなどのサービス拡大で収益の確保を試みる一方、顧客側にもビデオ会議システムを活用した「オンライン飲み会」といった飲みニケーションの新たなムーブメントが生まれた。

こうした流れを目にしたサントリーは、「話そう。」をテーマに5月上旬から2つのキャンペーンを展開した。その1つがWeb動画「話そう。」シリーズだ。これは俳優やアイドル、お笑い芸人、スポーツ選手など総勢37人が、さまざまな組み合わせで会話を楽しんでいる風景をムービーとして紹介したもの。

もう1つがパソコンで使える写真・動画共有アプリ「スナップカメラ」で使える「話そう。フィルター」だ。スナップカメラは、「Lens」と呼ばれるフィルターを切り替えることで、Webカメラの映像にリアルタイムでさまざまな加工を施せるアプリ。サントリーが開発・配布したフィルターは、このLensとして動作する。スナップカメラはそのパソコンに接続されたWebカメラとして振る舞うので、Zoomだけでなく、さまざまなビデオチャットシステムで広く利用できる点が強みだ。

結果的にこの取り組みは、特にWeb動画「話そう。」に出演した顔ぶれの豪華さが話題を呼んだ。6月15日の時点で計407媒体と、同社のキャンペーンとしては異例と言えるほど多くのメディアに露出。シリーズとして公開された動画の累計再生数も計696万回という人気コンテンツとなった(20年6月17日で公開を終了している)。

当然かもしれないが、この「話そう。」は、かねて企画されたものではない。「サントリーは創業以来、お酒や飲料の提供を通じて人と人とのコミュニケーションやつながりを大切にしてきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で人と人とが距離を取らなければならない、直接の対話が難しい今だからこそ『人と人が話す』その価値を改めて伝え、後押しするメッセージ配信ができないかとの思いがあった」と、サントリーコミュニケーションズ宣伝部の細田咲彩氏は話す。

そう細田氏が考えているときに、電通 CDC DentsuLabTokyo クリエーティブディレクターの田中直基氏から上がってきたのが、「話そう。」の企画だった。偶然とも言えるタイミングの合致に話は急展開し、実現に至ったという。

「サントリーが提供しているのは飲料だが、その『裏側』にあるのは『会話』。議論の中で浮かび上がってきたこのテーマは、今のタイミングだからこそ言うべきではないかという思いが僕の中にあった」(田中氏)。

東日本大震災当時のテレビCM「歌のリレー」が着想の原点

サントリーとの打ち合わせを続ける中で、田中氏の脳裏には東日本大震災後にサントリーが展開したテレビCM「歌のリレー」シリーズが浮かんでいたという。東京アートディレクターズクラブ主催の「ADC賞」でグランプリを取ったこのシリーズは、同社の広告キャラクターを務める71人もの著名人たちが坂本九氏の名曲「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」の2曲を歌い継いでいくというものだった。

当時「大きく励まされた」と語る田中氏にとって、今もあのCMは記憶に強烈に焼き付いている。歌のリレーはもう10年近く前の企画だが、「現代によみがえらせるとしたら、どういう形になるのだろう?」(田中氏)と考えていた。

電通はかなり早い段階で在宅勤務へとシフトした。田中氏は「1日にどれだけ多くの人と会話を交わしていたかを痛感した」という。しかし、周りにはそれを意識している人が意外なほど少ないことにも気づいた。「改めて『話そう。』と伝えることにも意味があると思った」(田中氏)。

あえて心がけた「組み合わせの意外性」

サントリーとしての公開期間は終了したが、Web動画「話そう。」シリーズの一部はニュースサイト経由などで今でも見ることが可能だ。公開当時は参加している顔ぶれの豪華さとともに話題を呼んだのが、その組み合わせの意外性だ。

例えば、石原さとみさん、長嶋一茂さん、ヒロミさんといった接点が見えない組み合わせがあれば、梅沢富美男さん、乙葉さん、モデルの美絽(みろ)さん、寺田心さんの回などのように、年齢がばらばらで、まるで家族ドラマを思わせる回もある。

「共演経験がない組み合わせや友人関係、親・子・孫といった家族のような関係を思わせるパターンなど、あえて多様な関係性が生まれるようにした」(細田氏)。その根底にあったのは、日常の会話を聞いているような感覚を見る人に生ませ、より多くの人にどこかで共感を抱けるようなものにしたかったという思いだ。「初対面であってもさまざまな話題が出てきて、出演者にリモートであっても話せることの喜びを感じてもらった印象がある」(サントリーコミュニケーションズ宣伝部課長の菅野紘樹氏)。

AIで画像認識する「話そう。フィルター」

このキャンペーンにおけるWeb動画「話そう。」と並ぶもう1本の柱が、「話そう。フィルター」だ。サントリーの公式バーチャルYouTuberである燦鳥(さんとり)ノムが会話をサポートする「燦鳥ノムのお茶会フィルター」、参加者全員が同じ場所に集まっているかのような背景になる「わいわいフィルター」、同社の人気キャラクター「アンクルトリス」が会話を盛り上げる司会役を務めてくれる「アンクルトリス司会フィルター」、おいしそうな飲み物の動画を背景に表示する「ごくごくフィルター」の全4種類が公開された。

動画とともに「話す」ためのツールを提供する方針は、早い段階で定まった。多くの人が利用しやすく、すぐに開発・提供できるという条件に当てはまるスナップカメラをプラットフォームとすることもすぐに決まった。「パソコン上でならほぼ全てのアプリケーションで使えることも決め手の1つ」(企画をサポートした電通 CDC DentsuLabTokyoクリエーティブテクノロジストの村上晋太郎氏)。そもそも企業での活用事例が少なく、日本で作られたLensも少なかったという。

「燦鳥ノムのお茶会フィルター」と「アンクルトリス司会フィルター」は、AI(人工知能)を用いた画像認識によって、口の開閉と表情を検出。口の開閉の多さと笑顔の有無などによってそれぞれのキャラクターが話す内容が変化する。「オンライン飲み会は慣れないと会話が弾まないことも多い。間を埋める工夫を考えた」(田中氏)。

また、これら2つのフィルターは一定時間が経過するとお開きにすることを呼びかけたり、午前1時以降は使えなくなったりするなど、飲み過ぎず健全に楽しんでもらうための工夫もある。すでに「話そう。」のキャンペーンページは閉鎖されたが、「話そう。フィルター」はスナップカメラ上でインストールすることが可能だ。

「一定の役割を終えた」という充実感

このキャンペーン「話そう。」へのユーザーの反応は「温かい気持ちになれた」など好意的なものがほとんどだったという。しかし、あくまでも「話そう。」は緊急事態宣言下におけるものであり、サントリーとしては、「一定の役割を終えた」との認識だ。新型コロナウイルスの対策が次のフェーズに入れば、営業を本格的に再開するであろう飲食店の支援など、フォーカスすべき点が変わってくる。「ブランドごとにこれから先どういうコミュニケーションが求められているか検討していく」(菅野氏)という。

すでに同社がGigi(福岡市)とともに展開している、自粛下で苦境に立った飲食店を支援するための先払いサービス「さきめし」もその施策の1つ。「7月になれば人がさらに街へ出るようになって、気持ちが上向くタイミングであると期待している。そういう状況下で人に元気を与え、一歩踏み出そうと思えるキャンペーンも考えている」(菅野氏)そうだ。

とはいえ、1週間、2週間先がどうなっているか分からないという点では、実は「話そう。」の企画を練っていたときと、さして変わっていないとも菅野氏は語る。「夏を見据えたキャンペーンの企画も進めているが、さまざまな状況を想定しつつ、メッセージの出し方や表現の方法など複数のパターンを考えている。『その頃はみんなどういう気持ちでいるんだろう?』と想像しながら進めている」(菅野氏)。

(文 稲垣宗彦=スタジオベントスタッフ、写真提供 サントリーコミュニケーションズ)

[日経クロストレンド 2020年7月10日の記事を再構成]

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