成長なくして職場なし 世界レベルのプロを育てる秘訣A.T.カーニー日本代表 関灘茂氏 (1)

プロ集団をつくるには人材の採用から戦略が必要(写真はイメージ=PIXTA)
プロ集団をつくるには人材の採用から戦略が必要(写真はイメージ=PIXTA)

世界水準の人材・組織を生み出すには、個々人がどのような発想で働き、マネジメントすることが必要か。関灘茂氏は外資系コンサルティングファーム、A.T.カーニーに新卒で入社し、38歳で日本オフィスの代表に就任。関灘氏が取り組んできた、A.T.カーニーを「最も信頼され評価される組織」にするための改革とはどのようなものなのか。1回目は世界最高水準のプロフェッショナリズムについて紹介する。

外資系の戦略系コンサルティングファーム各社には、Up or Out(アップ・オア・アウト)という考え方があります。「一定年数(2~3年程度)で昇進できなければ、自ら卒業(退社)しなければならない」という考え方です。日本では「昇進か退職か」と訳されることが多いです。一方で、A.T.カーニーはアップ・オア・アウトではなく、Progress or Out(プログレス・オア・アウト)という独自の考え方を採用しています。あえて訳すと「成長を続けるか卒業か」でしょうか。

この2つは、根本的に考え方が異なります。アップ・オア・アウトは「スキルセットの評価」と「人材の高速回転」が前提です。一方、プログレス・オア・アウトの前提は「価値観の合致度」と「人材の厳選採用・ストレッチ環境(コンフォートゾーン=居心地の良い場所、を出て挑戦し続ける環境)」にあります。

つまり、アップ・オア・アウトの世界では、役職ごとに必要なスキルセットが定義され、プロジェクトごとにその充足状況が評価されます。その結果、一つ上の役職に期待されるスキルセットを習得していると見なされれば昇進できますが、一定年数で昇進できなければ自ら卒業することになります。このため人材の入れ替わりが早い「高速回転」となり、人材の平均在籍年数が低下する場合もあります。

一方のプログレス・オア・アウトでは、まず組織にとって重要な価値観が定義されます。そして採用された人材同士が組織の価値観をどれだけ体現しているか、相互にモニタリングします。価値観が合う人材を厳選して採用しているうえに、入社後にそれぞれの人材が組織の価値観を体現し続ける。このため、スキルセットの習得も進む、という経験則があります。人材が育ちやすい環境であるので、平均在籍年数の適正化も進みます。

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