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新型コロナウイルス感染症は、いっこうに収束の気配を見せていない。仮に、この危機を脱したとしても、また新しい感染症に悩まされる可能性もある。『ポストコロナの経済学』(日経BP)の著者で大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏は、「日本は、感染症へのレジリエンス(耐性)がある社会の構築を急がなければならない」と指摘し、それには「3つの条件」があるという。その条件とは何か? 本書から抜粋して紹介する。

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「制圧」ではなく「共存」を目指す

感染症と人類との戦いは「長期戦」を覚悟すべきだ。

感染症の拡大とグローバリゼーションの進行はセットであり、過去の歴史上、人類が撲滅できた感染症は天然痘だけと言われている。近年の地球環境破壊の深刻さなどを勘案すると、今後も人類は様々な感染症に悩まされ続けることになるだろう。

著者の熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト

著者の熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト

したがって、われわれは今後、感染症へのレジリエンスのある(耐性の高い)社会を構築せねばならない。いわば、感染症を「制圧」するのではなく、感染症と「共存」するという発想だ。具体的には、基本的な考え方として、感染症の拡大抑制と、社会活動・経済活動の持続可能性(サスティナビリティ)とのバランスの回復を目指す必要がある。

緊急事態宣言やそれに伴う自粛によって、わが国は社会・経済活動の多大な犠牲を甘受し、感染症の拡大抑制を最優先してきたが、徐々に社会・経済活動の正常化を図らなければならない。

こうした「生命」と「経済」のバランスを模索する提案は、海外では盛んに行われている。

2020年4月には、米国のハーバード大学・倫理センターが「パンデミックに強い社会への道」と題する政策提言を発表した。この提言は、大量の検査や、感染者の隔離などをてこに、4段階で経済活動を正常化しようとするものだ。

具体的には、(1)エッセンシャル・ワーカー(医療従事者、電気・水道などのライフラインを担う労働者、食品スーパーの店員、警察・消防など)、(2)準エッセンシャル・ワーカー(日用品の生産、公共交通、飲食店など)、(3)対人サービス(理髪店など)、(4)ホワイトカラー労働者、という4段階での経済正常化を提案している。

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