たとえば優秀なAさん、普通のBさん、要努力なCさんがいるとします。
仕事を割り振る上司からすれば、失敗してほしくない大切な仕事をAさんから順に割り振るでしょう。
大切な仕事は決して楽ではないのですが、やり遂げることができれば自信につながるとともに、周囲からの評価を高めます。そして次の大切な仕事もぜひAさんに、という循環がうまれるようになります。
この時、仕事を割り振る側は決してBさんやCさんをないがしろにしているわけではありません。失敗するわけにはいかないから成功経験のある人に任せる、という思考が生まれてしまっているだけです。
皆さんも何かを依頼するときに、未経験の人ではなく、経験者に、できれば経験して成功している人に任せていると思うはずです。
さて、失敗してほしくない大切な仕事は、多くの場合楽でなないというだけでなく、新しい知識の習得を求めます。あるいは困難な人間関係の調整も求めるでしょう。これらはちょうど行動する場を得たうえで学習する順序になります。そのような経験が飛躍的にAさんを成長させることになります。仮にその割合が+10%だとします。
普通の仕事をしているBさんも決して楽ではないでしょうが、成長割合はもう少し低く、+5%とします。Cさんは仕事ができないわけではないのですが、今までと大きく変わらない仕事の中で学習割合が低いので+2%の成長率とします
こうして成長しつづけるAさん、Bさん、Cさんが、最初同じ300万円の年収でスタートし、その後の成長割合に応じて年収が増えたとしたらどうなるでしょう。
それが次のグラフです。
全員年収300万円でスタートさせたとして、10%成長を続けるAさんは40歳時点で1700万円近い年収という試算です。5%成長のBさんは720万円、2%成長のCさんは420万円ほどです。
くしくも多くの企業の平均昇給率は2%前後。そう考えてみればこの表のCさんのような成長は決して悪いものではないかもしれません。けれども、確実にAさんのような成長を実現する人たちがどんどん増えていきます。
コロナショックによる変化を前向きにとらえるためにも、私たちは自分たちの学習と経験についてあらためて考えてみるべきではないでしょうか。
