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星野源さん どんな状況でも平熱であり続ける強さ

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NIKKEI STYLE

綾野剛さんと星野源さんがダブル主演しているドラマ『MIU404』(TBS系)が好調です。このドラマは、警察内部の初動捜査のプロフェッショナルであるという架空設定された臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」(通称、機捜)が、24時間というタイムリミットのなかで事件解決に挑む1話完結型のストーリー。凸凹な刑事コンビの会話や派手なカーアクションなどが見どころとなっています。

綾野さんが演じる伊吹藍は、運動神経と刑事のカンが鋭いものの社会人としての常識に欠けた破天荒な性格の持ち主、一方、星野さんが演じる志摩一未は、観察眼と緻密な分析力を持ち、自分も他人も信用しないというクールで理性的なキャラクターです。

この2人のコンビネーションが絶妙すぎると、早くもネットで盛り上がっています。特に星野さんの場合には、再放送されていた大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』(TBS系)に続けて、今回のドラマがスタートしたこともあり、役柄の演じ分けについて、より注目が集まる形となりました。

闘病で価値観が一変

星野さんといえば人気俳優としてだけでなく、ミュージシャン、文筆家と、様々な顔を持ち合わせています。自身が作詞作曲した『逃げ恥』の主題歌『恋』は、恋ダンスと共に一大ブームを巻き起こし、同曲で紅白歌合戦への出場も果たしました。一方、『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK)では、お笑い芸人の方々に交じってコント師としての才能も発揮しています。

まさにマルチタレントとして全方位で活躍する星野さん。一時は、「どれだけ忙しくても、働いていたい。ハードすぎて過労死しようが関係ない」という思いで全ての仕事に臨んでいたそうです。

ですが、2012年にくも膜下出血で倒れてからは、その思いが変わったとのこと。その思いの変化は、2015年に発売された著書『働く男』(文春文庫)の冒頭で語られています。

「過酷な入院生活で、私は大人になった。仕事が中心の生活ではなく、己が中心の生活に変わった。(中略)とはいえ、『働く男』の自分を否定する気にはなれない。この本に書かれている以前の私の仕事への想い、姿勢は今もあまり変わっていない。仕事が始まると夢中になるし、自分の職種は常に仕事と真直ぐ向き合い、戦っていかなければ(本気で遊んでいかなければ)良い仕事はできないと今でも強く思っている。

しかし、昔のような依存感、中毒感、過剰な苦しみは一切感じない。楽しい。人前に立つ喜び、アイデアを実現する面白さ、そんな仕事をできる立場になった達成感。すべてを自分中心に平熱で感じることができる」

すべてを自分中心に平熱で感じることができる……。この言葉はまさに星野さんの雰囲気にぴったりはまる気がします。

平熱で臨む意味とは

俳優として、ミュージシャンとして、コント師として、様々な顔を見せてくれる星野さんですが、どの仕事も自然体で臨み、見ている側に気概や圧を感じさせません。まさに平熱の人であるように感じます。

実際、その圧のなさは、緊急事態宣言中、皆が自粛する状況のなか、誰もがコラボできる楽曲『うちで踊ろう』を作詞作曲し、多くの人たちにやさしいエールを送った姿にも表れていました。

急激に社会環境が変化し、多くの人たちが不安や焦りを感じていたときに、力みのないアコースティックギターの音色と軽やかな歌声は、私たちを癒やし、静かに勇気づけてくれました。何より「今はウチにいていいんだ」と、自分自身を肯定する力を与えてくれたように思います。そして、自分自身を肯定することによって、多くの人たちが平常心と平熱を保つことができたようにも感じます。

平時と違った有事においては、想定外の困難が襲ってくることもあります。

そんな時に、自分を責めたり、あるいは社会環境を恨んだりすることにエネルギーを注いでしまっては、自身のなかで悪い熱が上がってしまいます。

今、自分にできることは何か、社会の変化や流れにどのように自分を適応させたらよいのか、平熱の状態だからこそ、静かに考える力も蓄えられるのです。

確かに、継続していたことが停止すると、とても不安になり、平常心を保つのは困難になります。

星野さんは自身を襲った不安な状況さえも肯定できるようになったとのこと。立ち止まったり、休んだりすることについて、星野さんは著書のなかで次のようにつづっています。

「休んでいても不安は感じない。焦らない。今の自分がいるのは以前の自分のおかげであり、彼(以前の自分)が殻を破ってやろうと必死になって戦ったからこそ、脱皮した自分がのほほんと暮らしていけている。そう思うようになった」

音楽で人に寄り添う気概

そして著書のなかで星野さんは、社会の中で生きる自分自身の役割について、次のようにつづっています。

「僕は『音楽で世界は変えられない』と思っている。無理だ。音楽にそんな力はない。他の業界に比べて音楽業界は夢見がちな人が多い気がする。スタッフには元ミュージシャンとか表舞台に名残がある人も多いから、社会性のない人も多い。そんな人に限って言うのである。『君ら日本を変えられるよ』とかなんとか。

そんなもんはざれ事である。

国を変えるのはいつでも政治だし、政治を変えるのはいつでも金の力だ。そこに音楽は介入できない。

でも、音楽でたった1人の人間は変えられるかもしれないと思う。たった1人の人間の心を支えられるかもしれないと思う。音楽は真ん中に立つ主役ではなく、人間に、人生に添えるものであると思う」

自分中心としながらも、このように社会性を持ち合わせているところが、星野さんのバランス感覚の良さとマルチなセンスにつながり、星野さんならではの役割を全うする力が発揮されているのだと思います。

とはいえ、誰もが星野さんのようにマルチな才能を持つわけではなく、先が見えにくい世の中で、自分自身の役割を見極めることは、とても難しいと思います。先行きが不透明ななかで、私たちはどのように進んでいったらよいのか……。その答えを簡単に導き出すことはできません。

今の自分があるのは以前の自分のおかげ

ですが、平熱であり続ける星野さんを見ていると、せめて心持ちだけでも萎えることなく、平常、平熱でありたいと意識し続けることが大切であるように感じます。

「焦らない。今の自分がいるのは以前の自分のおかげである。明日の自分がいるのは今の自分のおかげになる」そう意識しながら進み続けた先に、いつか「困難を乗り越えた自分、脱皮できている自分」に出会えるはず、そう信じて、今は来るべき時に向けて、静かに備える時期なのかもしれません。

星野さんの仕事と向き合う姿勢や著書の文面からは、焦らずに日々を進んでいくことの意味と平熱であり続ける力の大切さをくみ取ることができます。

そして同時に、「今も仕事が始まると夢中になる」という星野さんが演じる「機捜」の刑事が挑むハードなカーレースやアクションからも、前向きなアクティブパワーをもらいつつ、一歩一歩進んでいくことができれば……と思います。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士館大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへの出演のほか、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。

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