テクノロジーの進化と働き方の未来を踏まえたとき、テレビゲームの活用とゲーミフィケーションは有効活用できている企業とできていない企業との間で、生産性に大きな差を生むことになるでしょう。人材の成長スピードも変わりますし、1日当たりで処理できる業務量も変わってくるはずです。日本企業は労働生産性の低さが問題視されていますから、生産性を高めることが期待できるテクノロジーの活用に、もっと貪欲になってもいいのではないでしょうか。

リモートワークで組織内の人間関係を見直す

在宅勤務が広まる中、導入までに混乱があったものの、実際にやってみると意外と問題なくできたという声も聞かれます。中には「家族との時間ができた」「自分のペースで仕事ができるから作業効率が上がった」という好意的な意見もあるようです。反対に、従来の働き方と異なるために、生産性が下がったりストレスを抱えてしまったりするリスクも指摘されています。

これらのリスクの基にあるのは、日ごろの人間関係の在り方にあるように思われます。一人暮らしのビジネスパーソンが在宅勤務と外出自粛で「人と会って話ができなくて寂しい」というのであれば、LINEなどのビデオ通話を同僚や友人とつなげっぱなしで仕事をすれば解決できるはずです。お金もかかりませんし、最近は「バーチャルコワーキングスペース」という24時間誰でも参加できるサービスも出てきています。

では、なぜこのような誰でも気軽に使えるサービスが世の中にはたくさんあるにもかかわらず、利用しようという人は限られているのでしょうか。それは、もともとの人間関係の中に、自分の仕事やキャリアについて気軽に相談できる相手がいないからではないかと、私は推測しています。

仕事やキャリアについて気軽に相談し、話し合う人間関係をもっていれば、その関係性をそのままオンラインに移行するだけでよいでしょう。しかし、そのような人間関係をもっていないのならば、それをオンラインに持ち込むこともできません。オンライン時代にこそ必要なのは、オフラインでの人間関係の構築ではないでしょうか。

職場の人間関係について、海外5カ国(日本・米国・フランス・デンマーク・中国)のビジネスパーソンを対象に行われた調査「5カ国リレーション調査」(リクルートワークス研究所)の結果を見てみると、日本は諸外国と比べて公私を分けて人間関係を築く傾向があるようです。そのため、職場の人間関係では、日常業務で気になったことや質問したいことをすぐに聞きたいというニーズが主要で、じっくりと将来のキャリアについての悩みを相談するようなことは難しいようです。

この調査結果からもわかるように、最近の日本のビジネスパーソンは雑談をしたり、少し込み入ったキャリアについて相談したりすることは、職場の人間関係において積極的ではなかったようです。対面だと場をもたせるために自然発生的にすることもあるかもしれません。もしくは上司や同僚から質問をされることもあるでしょう。しかし、リモートになると意思をもって積極的に関わっていかない限り、そういった偶発的なことは起こり得ません。

希薄な人間関係がリモートワークによって顕在化しているということならば、経営者や管理職はリモートワークでのコミュニケーションを通して、組織や部署における人間関係の在り方を把握し、見直す良い機会と捉えるべきではないでしょうか。共に働く同僚や部下が生き生きと働くことができる職場環境をつくるチャンスだと言えるのです。

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碇邦生
2006年立命館アジア太平洋大学アジア太平洋マネジメント学部アジア太平洋マネジメント学科を卒業。民間企業を経て神戸大学大学院へ。その後、リクルートワークス研究所で主に採用を中心とした研究プロジェクトに従事、17年から大分大学経済学部経営システム学科の講師。