次は「メンバーがプロフェッショナルであること」です。仕事やタスクを依頼したとき、定められた期限までに確実に成果物が届けられるという信頼性が担保されていない状態で、メンバー全員が遠隔で仕事をすることは難しいものです。

最後は「対等でローコンテクストなコミュニケーションができること」です。ローコンテクストとは、異なる文脈にいる個人(例えば、別組織や異業種の人など)に対しても直感的に理解できるように、かみ砕いたコミュニケーションがとれるかということです。阿吽(あうん)の呼吸のように、話さなくてもわかるというコミュニケーションは「ハイコンテクスト」です。直接顔を合わせないコミュニケーションでは、ハイコンテクストなコミュニケーションはほとんど機能しないのです。

これら3つに共通するのは、リモートワークが決まってから、突然やろうと思ってもできないということです。リモートワークを成功させるためには、管理職のマネジメント手法や部署内のコミュニケーション、構成員のキャリアなど、事前に組織体制が整備されていないと機能しにくいのです。リモートワークで組織が成果を出すには、事前の準備が不可欠です。

組織づくりにゲームを活用する

リモートワークでの組織運営の議論になると「社員をどう管理するか」という話に傾きがちです。しかし今、「遊ぶように働く」という価値観が急速に広まり、「仕事はつらいのが当たり前」という価値観が古いものとなりつつあります。「つらいことは機械にやってもらい、人間は自分の好きなことをやって生活していこう」という新しい生活様式が芽生え始めています。遊ぶように働くことで創造性が解き放たれ、生産性が飛躍的に高まることが期待されているからでしょう。

ベンチャー企業の中には「遊ぶように働く」を重要なカルチャーとして取り入れ、オフィスに無料バーを備えたり、無料で利用できるスポーツジムなどの施策を提供したりして、環境づくりに力を入れているところも増えています。「遊ぶように働く」ために様々な工夫を凝らしている企業がある一方で、「自分たちの業界では絶対に無理だ」とはじめから諦めている企業も多いでしょう。中には、公務員のように働き方まで法律でガチガチに決められている業態もあります。

そのような中、「遊ぶように働く」を一部の企業における特殊事情としないために、どのような工夫ができるのか。その糸口となるのが「ゲーミフィケーション」です。

ゲーミフィケーションとは「ユーザーエクスペリエンスやユーザーエンゲージメントを向上させるために、ゲーム以外の文脈で運用されているシステムにビデオゲームの要素を取り入れる」ことを言います。かみ砕くと「楽しんで自ら進んで使いたくなる使用感」と言い換えることができます。

つまり、ゲーミフィケーションが取り入れられることで、そのシステムを使用したユーザーは、より主体的に取り組むことができるようになったり、内発的動機づけが強められたりする、という効果が見込まれるのです。組織や職場づくりの文脈では、「ユーザー=従業員」と置き換えることができるでしょう。

ゲーミフィケーションの活用はマーケティングを中心に、日本でも注目されています。まだ、部分的な活用で止まってはいますが、更なるテクノロジーの進化によって社会に大きな変革をもたらす可能性が大きいでしょう。特に、仮想現実(VR)技術が浸透することで、働き方の当たり前が大きく変わる未来が予見されます。

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リモートワークで組織内の人間関係を見直す