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ハーバードの教授陣や卒業生・学生、教材になった日本企業の経営者などを徹底取材した

ハーバードの教授陣や卒業生・学生、教材になった日本企業の経営者などを徹底取材した

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。ハーバードの教員や学生は、日本から何を学んでいるのか、そこを綿密な取材で深掘りしたのが今回紹介する『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』だ。フラットな外の視線が光を当てる個々の日本企業の特質には、ビジネスをめぐる今日の厳しい状況から脱却する多くのヒントが詰まっている。

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佐藤智恵氏

佐藤智恵氏

著者の佐藤智恵氏は東大卒。NHKでディレクターを務めた後、コロンビア大学経営大学院で経営学修士(MBA)を取得、ボストンコンサルティンググループや外資系テレビ局などを経て2012年に作家・コンサルタントとして独立、『ハーバードでいちばん人気の国・日本』『スタンフォードでいちばん人気の授業』など、米国の経営大学院に取材した多くの著書を刊行しています。

今回の本は『ハーバードでいちばん人気の国・日本』の続編という位置づけです。続編を書いた動機の1つとして著者は「はじめに」でこう述べています。「『ハーバードの教員や学生は日本から何を学んでいるのか』をさらに突き詰めたかったこと。前作を執筆したときに、『国や文化を超えた普遍的なこと』を学んでいるのは何となくわかったのですが、それをもう少し深掘りしてみたいと思ったのです」

「亀田の柿の種」を分析

著者がそのためにとった方法は徹底した取材でした。13人に及ぶハーバードの教授陣、ハーバードの卒業生や学生、さらにはハーバードの教材になった日本企業の経営者や社員……。こうした足かけ3年に及ぶ綿密な取材から「何を学んでいるのか」の輪郭を少しずつくっきりとさせていき、学んでいるものの核心に迫っていきます。

どんな企業がハーバードの教材に取り上げられているのか、その1例をみてみましょう。

 「私の主な研究対象はテクノロジービジネスにおける新製品戦略です。その教材となる事例を探していたところ、ふと『ITの新製品を市場に導入すること』と『音楽、ドラマ、食品など文化製品(国や地域の文化に深く根ざした製品)を他国に導入すること』は、とても似ていることに気づいたのです。亀田製菓のアメリカ市場への挑戦話を聞いたとき、『日本で長年親しまれてきた米のお菓子を、アメリカでもヒットさせることができるのか』というテーマは、とても面白いケースになると思いました」
(第4章 戦略・マーケティング 178~179ページ)

『亀田製菓:アメリカ市場への挑戦』という教材を書いたエリー・オフェク教授の話です。日本人になじみのある「亀田の柿の種」がハーバードで新製品戦略やマーケティングを学ぶ教材になっているのです。「この教材はマーケティング戦略、グローバルマーケティング、消費者行動など、様々なことを教えられるのでとても重宝しています」。こんな教授の言葉も拾っています。

一方で、亀田製菓にも取材、米菓を製造することで究極的には何を実現しようとしているのだろうかと問いかけ、田中通泰会長から「亀田製菓が蓄えた知見が世界の食文化に貢献できると思っています。日本の技術、日本料理の見た目の美しさ、食感へのこだわり、これらすべてが亀田製菓のお菓子には詰まっていると思っています」との言葉を引き出します。

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