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シリコンバレーにあるトヨタ・リサーチ・インスティテュート本社

シリコンバレーにあるトヨタ・リサーチ・インスティテュート本社

日本を代表する企業として世界の注目を集め続けるトヨタ自動車。とりわけその価値観の中核にあるトヨタ生産方式(TPS)は、ハーバードビジネススクールをはじめ多くの経営大学院で教材となるなど、世界に与えた影響は大きい。米国のビジネス最前線でTPSと向き合うキーマン3人に、作家・コンサルタントの佐藤智恵氏が話を聞いた。最初のキーマンはトヨタ・リサーチ・インスティテュート最高経営責任者(CEO)としてトヨタの人工知能(AI)開発を束ねるギル・プラット氏。2回目は研究所内でのトヨタウェイを語る。

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豊田章男社長からの3つのリクエスト

佐藤 トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)では研究内容をどのように決めているのですか。

プラット 研究テーマの決め方は、前職のアメリカ国防総省国防高等研究計画局(DARPA)とよく似ています。毎年「何を研究すればトヨタ自動車の未来にとって役立つか」についてTRI内で話し合ったあと、豊田社長と私が直接議論し、テーマを決めています。

トヨタ・リサーチ・インスティテュートCEO ギル・プラット氏

トヨタ・リサーチ・インスティテュートCEO ギル・プラット氏

昨年(2019年)の会議では豊田社長から次のように提案されました。

「ギル、私はTRIで次の3つのことを研究してほしい。1つめは『ガーディアンシステム』(高度安全運転支援システム)、2つめは『ロボティクス』、そして3つめは『あなたがやりたいこと』」。

このリクエストはまさに「上司から部下への信頼」のあらわれであると感じました。

佐藤 3つのテーマについてそれぞれご説明いただけますか。

プラット 1つめの「ガーディアンシステム」とは自動車の事故を事前に回避し、安全性を高めるためのシステムのことで、2つめの「ロボティクス」とは、高齢者がより質の高い生活を送るための助けとなる技術のことです。そして3つめの「私のやりたいこと」については、「人間の行動を予測するAIシステム」をテーマとして選びました。

「人間の行動を予測するAIシステム」は、自動運転車が「この人はこれから道を渡るだろうか」と予測できるようにするだけではなく、トヨタが今後どのような自動車を開発するべきかを決断するためにも重要な技術になってくると思います。過去のデータから人間がどういうモビリティを欲するのかを予測するAIシステムを開発できれば、トヨタグループの様々な分野に大きな価値をもたらすことができると思います。

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