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コロナの意外な影響 野生動物の事故死が米国で大幅減

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による人間社会の混乱が、一部の野生動物に恩恵をもたらしている。交通事故で死ぬ動物が激減しているのだ。

ロックダウン(都市封鎖)がピークに達した2020年3月と4月、米国の道路の交通量は最大で73%も減った。同じ期間に、シカ、エルク(アメリカアカシカ)、ヘラジカ、クマ、ピューマなどの大型野生動物を死に至らしめた衝突事故は最大で58%減少した。イヌやヒツジなどの交通事故死の件数も、同様の急落を見せている。

「この状況が長く続くほど、動物の生存率が高まります」と、20年6月26日に発表された報告書の著者で、米カリフォルニア大学デービス校道路生態学センターのフレイザー・シリング氏は言う。

「現在のスローダウンが長引き、全国の交通量が例年の半分に満たない状態が1年続けば、幹線道路や一般道で死なずにすむ脊椎動物の数は5億匹になるでしょう。これはもちろん、野生動物にとって大きな出来事です」

今回の研究は、道路や車が生態系の機能に深刻な影響を及ぼし得ることを明確に示した。

大型の捕食動物は、生態系のバランスを保つうえで重要な役割を果たしている。研究者らは、米カリフォルニア州で減りつつあるピューマに注目した。この動物は、道路によって生息地が分断され、交通事故や、孤立した個体群内での近親交配を引き起こしているからだ。ところが、ロックダウンの開始前後10週間の統計によると、車にひかれて死んだピューマの数は58%減少し、1週間当たり約2頭から1頭未満に減った。

「そういう意味では、新型コロナウイルスにも、ほんの少しですが良い面があります。車の速度が落ち、あるいは台数が減るということです」と言うのは、野生動物の研究を行っている獣医師、ウィンストン・ヴィッカーズ氏だ。「その結果、今年の死亡頭数はわずかに減少するかもしれません」

報告書は、現在の交通量の傾向が1年続けば、カリフォルニア州ではピューマ50頭の死を防げる可能性があると述べている。

「人類の停止」はいつまで

研究のため、シリング氏と同僚らは、カリフォルニア州、アイダホ州、メイン州の交通事故死のデータを分析した。いずれも野生動物との衝突事故に関する報告制度をもつ州だ。

カリフォルニア州では、交通事故で死んだ大型動物の死亡数は20年3月上旬から4月中旬の間に21%減少、1日当たり8.4頭から6.6頭になった。死んだ動物は大半がシカだった。アイダホ州では、死亡数は38%減少、1日当たり8.7頭から5.4頭となった。犠牲となった主な動物はシカとエルクだ。メイン州では死亡数が45%も減少、1日当たりの死亡数は15.2頭から8.4頭になった。死んだ動物は主にシカとヘラジカである。

このような交通事故の減少による恩恵を受けるのは、野生動物だけではない。米運輸省の幹線道路交通安全局によれば、米国では毎年200人もの人が動物との交通事故で亡くなると見積もられている。

学術誌「ネイチャー」に最近掲載された記事では、科学者らのグループが、現在生じている人間の活動の縮小を「人類の停止」と呼ぶことを提案している。これは、人間が周囲にいなければ、多くの動物が繁栄することを示しており、その証拠として、チェルノブイリ原子力発電所周辺の立入禁止区域や南北朝鮮を隔てる非武装地帯といった閉鎖された場所に多くの野生動物が生息していることを挙げている。

コロナ後、動物たちを守るには?

米国の交通量は、すでにパンデミックが始まる前の半分ほどの水準(またはそれ以上)まで回復しているとシリング氏は言う。今後再度ロックダウンが行われる可能性はあるものの、やがて交通量が従来レベルに戻れば、野生動物と人との衝突事故も同程度に戻るだろうと予測する。

米ジャクソンホール野生生物基金の事務局長を務めるルネ・サイドラー氏は、今回の報告について、幹線道路を野生動物にとってより安全なものにすることの大切さを認識させてくれたと評価する。

事故を減らすには、道路に柵を巡らす、動物が安全に道路を渡れるように橋やトンネルを作るなどの方策があると同氏は語る。

「これらの方法は費用がかかり、景観が大幅に損なわれ、動物にある程度大きなストレスがかかる可能性があります。それでも、これが最も有効でしょう。人間の性質を変えるのは途方もなく難しいですから。野生動物に行動を変えてもらう方が簡単です」

(文 Cheryl Katz、訳 山内百合子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年7月3日付]

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