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ほぼ日社長 糸井重里氏

ほぼ日社長 糸井重里氏

コピーライターの糸井重里さんは売上高50億円を超える上場企業「ほぼ日」の社長でもある。ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営や、「ほぼ日手帳」などの物販も手がける会社だ。糸井さんは社長の役割を「働く仲間の人生まで責任を持つ、サル山のボス猿のようなもの」と考える。会社を「人に喜ばれることをやるチーム」と位置づけて、社員に直接語りかけることを心がける。そのきっかけは2011年の東日本大震災だったという。

(下)トップは泣いてたらダメ ウソでも前向きが社長の仕事 >>

――1998年にサイトを立ち上げ、チームを組んで運営しました。いわゆる「経営者」となって、どのように感じましたか。

「リーダーにはなりたくないと生きてきたつもりでしたが、『今からリーダーなんだな』って気づいた瞬間があるんです。初めて人間ドックで健康診断を受けたときのことで、『1人で生きているわけじゃないんだ。責任があるんだ』と思ったんですね。50歳直前のことです。だから禁煙しました。それまでは『何のために禁煙するの』くらいに思っていたけど、社長をやるということはそういうことだとやっと気づいた。晩熟な気づき方でした」

「社長が動いたり考えたりすると、一緒に働く仲間たちの家族の人生にまで関わるんですよ。社長になる前はフリーの立場でしたから、打って走ればいいという野球の選手みたいなところがありました。でも、リーダーはそうじゃない。『子どもができたんですよ』とうれしそうに言ってきてくれる仲間の人生まで関わっているんだ、と分かりました」

「フリーのコピーライターから、チームで働くように変わるのって、砲丸投げの選手がサッカーの選手になるくらいの違いがあります。それに1人でやる仕事は他人にイニシアチブを取られてしまう可能性が高い。クリエーティブ(広告の制作物)を考える頭がチームをつくる方に働いたんでしょうね。コピーライターの僕を、僕が雇う。一人二役で、メインの僕は雇う側というようになりました。でも、個人プレーヤーに戻る仕事は面倒だけど、楽しみでもありますよ。いいネーミングができたりすると、『俺、昔コピーライターだったんだよ』みたいな」

ホラ話に聞こえても、社員に直接語る

――社長を続けるうちに変化したことはありますか。

「最初は付け焼き刃だった社長の役割が、身についていかざるを得なかった。社長はサル山でいえばボス猿。群れを守ることを無意識で考えるようになったんでしょう。例えば『嫌だ』と平気で言えるようになりました。責任感に慣れていないうちは『嫌だ』と言いにくかったりするんです」

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