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画像はイメージ=PIXTA

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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

新型コロナウイルスをめぐる緊急事態宣言が5月下旬に解除されて、多くの会社が在宅から出社へと働き方を変えました。全面的に出社とした会社もあるでしょうし、週のうち半分は在宅という会社もあるでしょう。働き方の選択肢が広がることは喜ばしいことです。

ただ、在宅勤務から出社勤務への変化は、単に「元に戻った」とはなりません。テレワークによる在宅勤務が、働く人たちにストレスを来したように、出社勤務への回帰も、同じようにストレスをもたらしているのです。

在宅勤務が長期間続くと、「出社するための身なりを整えなくてもすむ」「通勤時間が必要ないため、朝も仕事開始時間近くまでゆっくりできる」「自分のペースで仕事を進められる」など、個々のライフスタイルに合った仕事の仕方を取り入れることができます。

家電メーカーに勤める30歳代女性の事例です。2カ月余りの在宅勤務から6月1日に原則出社となりました。それと同時に体調不良を訴えるようになったのです。疲労感、めまい、食欲不振といった症状があり、みるみる体重が減少しました。めまいや疲労感も激しくなり、6月下旬には「出社して会社で倒れるのが怖い」との理由から、都合5日間休んでしまいました。

本人の求めにより産業医が面談したところ、体がだるくて、何もする気になれない、「抑うつ気分」は見られません。在宅勤務中は、外出自粛もあって自宅から出るのは週に数回、近所での買い物くらいで、運動もほとんどしていなかったようです。また、通勤しなくてすむため、就寝時刻や起床時刻がだんだんと遅くなり、起きるのは就労開始の30分前となっていたといいます。

在宅と出社の日数配分など柔軟対応を

自分のペースで仕事を進めることができ、時間も自由に配分できるため、進捗も順調で問題はなかったそうです。ただ、ほかに何もすることがないので、休日にも仕事をしていたようです。結果的には月40時間以内でしたが残業もしていました。「仕事にメリハリをつけることが難しかった」と話していました。うつ病ではないものの、在宅から出社への急な働き方の変化に心と体がついていかず、身体的な反応として表れたものとみられました。

本人には、少しずつ働き方の変化に慣れ、在宅勤務となる前の生活リズムに戻すために、就寝と起床の時刻を整えるほか、毎回の食事を規則正しくきちんと取ること、運動する習慣をつけることなどを助言しました。

長期間の在宅勤務から、以前の出社勤務に切り替える場合、社員がソフトランディングできるように、在宅と出社の日数配分など、会社にも柔軟な対応が求められるところです。

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