自分の「成功ノウハウ」を発信・共有

これは、セルフブランディングを意識して行ったわけではないのですが、結果的にはブランド構築につながった取り組みです。社内勉強会を主催し、営業活動の中での成功事例、そのノウハウを皆に共有したのです。

私は「一人でも多くの人のハッピーキャリアをつくる」ことをミッション・ビジョンとして掲げていたので、成功ノウハウをメンバーたちに伝え、チーム全体の力を高めることでそれを実現したいという思いがありました。そこで、自身が営業活動で「やっててよかった」と思うこと、かつ他の人でも再現できるようなことを「型化」し、勉強会を開いて皆に共有したのです。

すると、他部署から、さらには支社から「うちでも勉強会を開いてほしい」の声が寄せられるように。そうして、「講師・森本千賀子」の名は全国の拠点へ、さらにはリクルートグループ内の他社にも広がっていったのです。

なお、リクルートでは「組織貢献」も評価軸の一つとして重視されています。ノウハウやナレッジを共有する行動はプラス評価され、これもブランドアップにつながりました。

メディアで自分の「得意」を発信

会社に取材依頼が来たり、会社がメディアで情報発信したりする機会があれば、積極的に取材に協力しました。そうすることでメディアの人たちとのネットワークができ、「今度こういう企画があるんだけど、出てくれませんか?」という依頼が寄せられるようになりました。

メディアの力を実感したのは、31歳のとき、『日経アソシエ』の「手帳の活用法」という特集記事の取材に協力したときのこと。私が新人時代に営業を担当し、異動後は疎遠になっていたある不動産会社の社長がその記事を見てお手紙をくださり、10年ぶりに再会を果たしたのです。

メディアは人との縁をつないでくれるものだと感じ、以来、取材は断らずに受けるようになりました。そして、私の記事を読んだNHKのプロデューサーさんからお声がけいただき、『プロフェッショナル~仕事の流儀』への出演につながったのです。

なお、取材を受けるにあたっては、先ほどお話しした「成功ノウハウを皆に向けて発信・共有」という行動習慣がとても役に立ちました。

自分自身の日々の行動について、どうすれば同僚や後輩たちが再現できるのか、型化して共有できるのかを常に考えていた――つまり、自分の行動を客観視して言語化できていたので、メディアの取材で「読者の役に立つノウハウを教えてください」と言われたら、スラスラと答えられたのです。11冊もの書籍を出版できたのも、そのおかげだといえます。

誰もが独自のノウハウ・情報・行動習慣を持っているはずです。自分にとっては当たり前のものでも、他の誰かにとっては「ぜひ知りたい、価値あるもの」かもしれません。

自分を客観視し、特徴的なものを言語化し、アウトプットしてみる。それが思いがけず他者からのリスペクトを集め、あなたの「ブランド」に育つかもしれません。

昨今は交流サイト(SNS)などを使って、自分の「得意」を手軽に発信できます。メディアもSNSの中で「取材先候補」を探していますので、目に留まって取材を受ければ世間での認知度が一気に広がり、新たな仕事を呼び寄せる可能性があります。そのようにして、自分の得意領域でのブランド価値を積み上げていくこともできます。

また、「書籍の出版」も、近年は低コストでスピーディに実現する手法があります。

自分を発信していくためには、得意領域のテーマについて本やセミナーなどでインプットを続けることも大切です。セミナーやワークショップでは、他の参加者と積極的にコミュニケーションをとり、SNSでつながるなどすれば、さらにネットワークの拡大、セルフブランドの拡大を図っていけるでしょう。

「ブランド」と聞くと、高級・高尚なものをイメージするかもしれません。けれど、実はごく身近なことからスタートし、徐々に信頼を積み重ねていくことで、いつの間にか築くことができているものだと思います。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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