再ロックダウン? 感染急増の米国、第2波どう対応

日経ナショナル ジオグラフィック社

最近の感染者の急増は、50歳未満の成人が原因であると繰り返し言われてきた。しかし米国内の調査によると、COVID-19による若年成人の入院患者は、3月初旬以降、毎週全体の25パーセント程度で、この層が急速に膨れ上がっている事実はない。最近になって感染者数が急増している場所の一つであるテキサス州では、自宅待機命令が解除される5月1日以前、感染者中の若年成人の割合は50パーセントであり、それ以降の増加は3ポイントにとどまっている。

米国の労働力人口が若年化していることを考えれば、「若年成人が、感染率が最も高い年齢層であるのはある意味、当然と言えるでしょう」と、マディバナン氏は言う。「どんな感染症であれ、発生初期の感染は常に、若くて行動的な、社会的接触率の高い年齢層に集中します。彼らは必要不可欠な仕事をするエッセンシャルワーカーであり、労働者階級の人々であり、体を動かして仕事をしなければならない人たちです」

しかし同時に、公に出されるメッセージは、若年層ではCOVID-19の症状が出ることも、重症化することもほとんどないというものになりがちだ。だが、若年層ほど無症状になる傾向が高いという主張を裏付ける厳密な研究は、まだない。

2020年6月25日、米疾病対策センター(CDC)は、COVID-19の重症化リスクのある対象者を、65歳以上だけでなく、すべての成人に拡大した。致死率は高齢者で高いものの、ニューヨーク市や中国など大きな打撃を受けたところでは、50歳未満でも重症化は珍しくなく、高齢者と同じように長期間入院すると報告されているためだ。

重要なのは、メッセージを適切に伝えることだ。公に伝えるメッセージに多様な内容が混在していると、人々に公衆衛生上の助言に従ってもらうことが難しくなる。研究によると、互いに相反するメッセージは、精神的な苦痛を引き起こし、信頼できる一貫した情報がない場合、人々は自分が聞きたい内容に耳を傾け、誤った情報を求める傾向にあるという。

「当局から一貫した情報が伝えられない場合、多くの噂や陰謀説がその隙間を埋めてしまい、そのせいで人々が、自分が何をすべきなのかを把握するのが非常に難しくなります」と、米カリフォルニア大学アーバイン校で心理科学を教えるロクサーヌ・コーエン・シルバー氏は言う。

コーエン・シルバー氏の研究では、たとえば銃乱射事件や2014年のエボラ危機のときのように、ネガティブな面に過度に焦点をあてたニュースが執拗に繰り返されると、多くの市民が精神的なショックを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が引き起こされる可能性すらあることが示されている。コーエン・シルバー氏のチームは5月、メディアや医療専門家は、パンデミックのリスクに関して、ヒステリーや混乱を増幅させることなく、実用的な助言を提供する役割を担うべきだとの警告を発している。

2020年6月23日、カナダ、トロントにあるホテルXで、戸外でのヨガに参加する人々。COVID-19の感染対策としてソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つため、各自ドームの中に入っている。カナダでは徐々に経済活動が再開されつつあるが、ジムやフィットネスクラブはまだ閉まったままだ(PHOTOGRAPH BY COLE BURSTON, GETTY IMAGES)

週3000万件の検査の是非は?

CDCによるCOVID-19検査キットに当初、欠陥があったことにより、米国では新たな感染者の発見が遅れ、いわば「水なしで火事を消そうとする」ような事態となった。今年の春にロックフェラー財団から出されたある報告書は、検査の数を週100万件から週300万件へと2カ月で「劇的に拡大」するよう求めていた。米人口の約1パーセントを対象としたこの検査と「高精度」な接触追跡とを組み合わせることにより、経済活動を部分的に再開できるだろうというのが、財団の予測だった。

ナショジオメルマガ
注目記事
ナショジオメルマガ