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ルール5「20秒の脇伸ばし」で縮こまった身体を伸ばし、呼吸とココロを楽にすべし

――平泉医師「同様にタオルを使って、片腕ずつ伸ばす動作も行ってください。体幹側屈ストレッチによって脇を広げる体操です」

(1)タオルの両端をつかんだまま、前に伸ばす。

(2)タオルを自分に引き寄せながら左腕を頭上に真っすぐ上げ、右手は下げてタオルを引っ張る。息を吐きながら10秒キープ。脇(肋間筋)や胸(大胸筋)が伸びるのを感じよう。

(3)同様に、息を吸いながら右腕を頭上に上げ、左手はタオルを下に引っ張る。息を吐きながら10秒キープ。

(2)と(3)を交互に5回ずつ。息を止めないように注意して行おう。

――平泉医師「片方の腕を頭上に上げてタオルを介して反対方向へ引っ張ることで、硬直した肩甲骨のインナーマッスル・前鋸筋(ぜんきょきん)と、呼吸にも関わる肋間筋(ろっかんきん:肋骨の間にある筋肉)を伸ばすストレッチです。これを行うことで、肩甲骨の可動域をさらに広げられます。同時に、『カメ首』姿勢で縮んだ胸郭や脇の肋骨部分を広げる効果もありますので、肺を大きく使えて呼吸もしやすくなります」

私もやってみた。「肩甲骨ほぐし」の後なのでスムーズに腕を上げられたが、いきなり「脇伸ばし」から入ると、五十肩のように肩がコリ固まった人にはハードルが高いかもしれない。だが、「30秒の肩甲骨ほぐし」→「20秒の脇伸ばし」という流れで取り組むと、無理なく体の前側に残っていたコリがとれて姿勢もよくなる。確かに呼吸も楽になったような感じもするが、「体のコリ」と「呼吸」は関係があるのだろうか?

――平泉医師「縮こまっていた筋肉がほぐれて肩甲骨や肋骨の動きがよくなると、胸郭が膨らみやすくなり酸素を多く取り込めるようになります。すると、コっている筋肉や脳の代謝が良くなり血流も改善。痛み物質も洗い流されるので、筋肉の痛みが緩和されるのです。さらに、血流がよくなることで脳の働きも改善し、精神活動が活発になることも期待できます」

確かに、深く呼吸するたびに、体だけでなく心のコリもほぐれる気がする。「カメ首」の苦しみからの完全脱却に最適だ。

――平泉医師「『カメ首』を放っておくと、頭を支えている頸椎(首)の関節と筋肉が不良姿勢のまま固まってしまい、痛みが常態化してしまうケースが目立ちます。そうなると、今度は脳に行く血流が悪くなるので、仕事中の集中力が低下して、ひどい場合には精神的にうつ状態も引き起こしてしまいます。『カメ首』で顔の表情が曇っていたときと、姿勢が良くなって笑顔が戻ったときの表情をぜひ比較してみてください」

時には「生きるのもつらくなる」くらいの痛みを伴う首や肩のコリ。背中の甲羅をやわらかな羽に変える「カメ首ストレスの解消」は、顔を上げ軽やかに前進したい今の気分に合っている。

(イラスト 平井さくら)

平泉裕さん
昭和大学医学部整形外科学講座客員教授。医療法人社団輝生会 船橋市立リハビリテーション病院。1982年昭和大学医学部卒業、87年医学博士。2002年同大学医学部整形外科学教室助教授、07年同准教授、13年同教授、16年より現職。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本リハビリテーション医学会専門医なども務める。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。

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