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新書棚エンドの平台に4列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

新書棚エンドの平台に4列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。営業を再開してから1カ月半が過ぎたが、客数はかつての6割程度というのが実感だという。そんな中、書店員が注目するのは、年を重ねても生き生きと暮らす方策を様々な視点から考察した還暦起業経験者による新書だった。

個人の生活から社会制度まで

その本は出口治明『還暦からの底力』(講談社現代新書)。著者の出口氏は多くの人に説明は不要だろう。還暦でライフネット生命保険を起業し、社長・会長として10年務めた後、2018年には立命館アジア太平洋大学(APU)の学長に就任した。まさに還暦からの底力を発揮して今も精力的に活躍する人物だ。その人が還暦からの底力を発揮するには具体的にどうすればいいのか、「個人の生活や考え方はもちろん、社会的な制度や慣習のどこに問題があり、どこをどう変えていけばいいのか」まで、読者と一緒に考えてみようというのが本書だ。本文冒頭には「年齢に意味はない」と力強い宣言が踊る。

「出口流初の人生指南」と帯にはある。それゆえ個人としての行動や考え方の指針めいたものも書かれてはいるが、それだけが本書の読みどころではない。公的年金保険制度や税体系の問題点、働き方や雇用をめぐる企業や社会の対応やダイバーシティーの問題、さらには国を率いるリーダー論まで射程に収めて、縦横無尽に年齢に関係なく生き生き暮らす方策を探っている。その意味では教養の大切さを説いて様々な本を書いてきた氏の著作の延長線上に本書も位置する。考える力の大切さ、学び続けることの意味は本書でも改めてたっぷりと説かれている。

「人・本・旅」が生き生きの基本

個人の生き方として提示する指針はいたってシンプルだ。「年齢フリーで考える」「物事をできるだけフラットに、エビデンス(証拠)に基づいてとらえる」「健康寿命を延ばす」。この3つを心がけ、「たくさんの人に会い、たくさん本を読み、いろいろなところに出かけていって刺激を受ける」。この「人・本・旅」が年を重ねても生き生きと暮らす生活と考え方の基本となる。

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