指揮者型リーダー育てる「すずかんゼミ」 原点は灘高鈴木寛・東京大学教授兼慶応義塾大学教授(下)

鈴木寛・東京大教授
鈴木寛・東京大教授

全国屈指の名門進学校、灘高校(神戸市)出身の鈴木寛氏。東京大学と慶応義塾大学の両大学院教授を兼任し、大学横断型の「すずかんゼミ」を主宰、教え子は1000人を突破した。Zホールディングスの川辺健太郎氏やスマートニュースの鈴木健氏、ユーグレナの出雲充氏など著名経営者が並ぶ。灘の経験を生かし、次世代を担うリーダー、「ソーシャルプロデューサー」の育成に奔走する。

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「何で灘高生は受験に強いのか」とよく聞かれるという。

もともと成績のいい子が多いことがベースにはありますが、個人プレーではなく、「団体戦」で受験に挑むからだと思います。灘中の定員は当時170人(現在は180人、高校から220人)、それで6年間一緒ですから大半の顔が分かる。同級生同士で教え合うという文化が根付いているのです。

放課後になると、何人かの生徒が職員室の前の廊下などにたむろし、数学の解法などを教え合うわけです。高校3年生になると、例えば、東大入試でボーダーライン上にいる生徒は誰と誰とか分かります。数学や英語、国語などそれぞれが得意な生徒がボーダーライン上の生徒に教えて、合格圏内に引き上げる。

僕はサッカー以外にバンドや様々な行事に顔を出して、とにかく忙しかったので、勉強に関しては最小限の時間で最大の効果が出るようにやっていました。受験対策のノウハウの改善に力を入れていました。東大時代ですが、「シケプリ」という試験プリント対策システムも構築しました。憲法や民法などが得意な各学生の優れたノートを集めてきて、簡単な試験対策集を作成してみんなに配る、プロデューサーのような役割です。これはすごく感謝され、その後もズッと続いていますね。

灘の同級生も切磋琢磨(せっさたくま)はしますが、ライバルだからと足を引っ張り合ったりはしない。むしろ助け合う。そこには灘創立に参画した嘉納治五郎の「自他共栄」という精神が息づいていると思います。

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