ポートフォリオを組もう

戦略読書のポイントとなる言葉が「ポートフォリオ」です。経営戦略論で使われる概念で、よく知られるのは経営資源を最適配分するための分析ツールでしょう。「BCGマトリクス」とか「プロダクトポートフォリオ・マトリクス(PPM)」と呼ばれています。事業を「市場成長率」と「相対シェア」の比率で4象限に分けるプロットです。

たとえば、市場成長率が低く(成熟市場)、相対シェアが高い(リーダー)のであれば「金の生る木」に分類されます。そこの基本方針は「低成長・高シェアの維持」であり基本投資方針は「投資は最小限に留め、キャッシュの創出源とする」です。一方、成長率も相対シェアも高い「スター」には集中投資が有効です。「負け犬」分野のリストラなどでねん出した経営資源を投入してスターを育てることも検討します。

「読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM)」のイメージ図

これを読書に応用したのが「読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM)」です。自分の強化したい分野、伸ばしたい分野にうまく冊数や読書時間を配分するのです。本書には各象限に該当する必読書や著者おすすめの本が数多く掲載されています。ぜひ、自分オリジナルのRPMづくりに活用してください。

どの分野の本を「いつ読むべきか」も極めて重要です。「第1期(就職活動期~社会人1年目)」「第2期(社会人2~4年目)」「第3期(社会人5~10年目)」「第4期(キャリアチェンジ準備期)」という区分で、推薦図書とともに指針を示しています。

資源配分の観点からバランスにも気を配りましょう。バランスのよい食事が強い肉体と免疫力を作ります。読書も同じで、著者は「ビジネス書を一冊読んだら、非ビジネス書を一冊読もう」と決めているそうです。仕事とはまったく無関係な本であっても将来、必ず何らかの形で役立つからです。この部分ではアップルを創業したスティーブ・ジョブスの言葉が引用されています。ジョブズは生前、若者たちを前にこう言いました。

今、興味のあるものに打ち込め。それはきっと将来、役に立つから。そういった経験や知識やスキルの『点』が、いつかつながって『線』になるから」。ジョブズはこれを「Connecting the dots」と表現しました。

 自分の興味ある本を、斜め読みで良いので通読しましょう。いや、全部読み通せなくても大丈夫です。そこでの学びが、きっといつか、互いにつながります。本業のために、その趣味が役に立ちます。
 いや、役に「立てる」のです。「非ビジネス系」本で得た学びや力、信念を、本業にどんどんつぎ込むのです。
 ジョブズの言う「Connecting the dots」のconnectは、自動詞でなく他動詞です。つながる、ではなく、つなげる。「点」は、つなげるものなのです
(第2章 セグメント別ワリキリ読書――読み方を変えて効率的にリターンを得る 143ページ)
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