地方にオンライン議会熱 災害対応や女性活躍に期待

取手市議会はオンライン議会の実現に向けて早稲田大学やIT企業などと連携する(6月15日、茨城県取手市)
取手市議会はオンライン議会の実現に向けて早稲田大学やIT企業などと連携する(6月15日、茨城県取手市)

新型コロナウイルス対策として、地方議会でオンライン会議を活用する動きが広がってきました。感染拡大につながる「3密」を避けるための緊急避難的な対応ですが、平時でも様々な事情で出席が難しい議員のために利用することができます。子育てや介護に携わる人たちも議会に参画しやすくなり、議員のなり手不足に悩む地方で人材確保の裾野を広げるきっかけになりそうです。

茨城県取手市議会で2月に就任した斎藤久代議長は、その直後からコロナ対策に追われました。緊急事態宣言が出た直後からほぼ毎週、オンラインで対策会議を開き、市長に提言してきました。オンライン会議に必要な情報機器に不慣れな議員もいますが、議会事務局のサポートもあり、技術的な不安はなかったそうです。

議員も出産、育児、介護、看護などで、家庭か議会かの選択を迫られる状況が生じます。取手市議会は2018年にオンライン会議の活用を提言し、準備を進めてきました。

今秋以降、審議や採決も行う模擬オンライン議会を実施し、課題を洗い出して実際のオンライン議会につなげる計画です。斎藤議長は「出産や子育てに携わる女性が、議会活動に取り組むチャンスが広がる。本当に期待している」と話しています。

すでにオンラインで審議を実施したところもあります。福島県磐梯町議会は6月定例会で常任委員会の連合審査をオンラインで開き、条例案を審議しました。別の常任委員会では補正予算案の審議にあたり、町側が別室から提案理由を説明し、質疑にも答えました。大阪市議会や大阪府議会もオンラインで委員会を開けるよう規則や条例を改正しています。

総務省は4月に示した見解で、委員会はオンラインで開けるものの、本会議は実際の出席が必要になるとしています。都道府県議会議長会などは本会議もオンラインで開けるよう総務省に検討を求めています。

地方議会に詳しい片山善博早大教授はオンラインの活用について「議会改革につながる。子育て中の女性などの議会参画が進み、なり手不足の解消の一助になる」と評価します。総務省の見解には、委員会も本会議も出席の意味に違いはなく、現状でも本会議のオンライン化は可能だ、と指摘しています。

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