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人間「手つかず」の陸地マップ 保護すべきはどちら?

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ナショナルジオグラフィック日本版

地上で最も「手つかず」の土地を示した地図を、科学者が作成した。すなわち人間の影響が最も及んでいない土地を示した地図だ。2020年6月5日付の科学誌「グローバル・チェンジ・バイオロジー」に論文が発表された。

「農業やインフラ整備、開拓などによって変化させられていない土地は、世界のどこにあるのか。この地図に答えがあります」と、論文の共著者の一人である米メリーランド大学ボルチモアカウンティ校の地球生態学者、アール・エリス氏は言う。「そうした土地については見解がほぼ一致しています」

論文によると、今回発表された地図は、それぞれ異なる指標を用いる4つのモデルを統合することで人間が影響する地域を浮き彫りにした。

4つのモデルは、どれも人口や市街地、耕作地といったデータを用いている点は同じだが、そこから先はモデルごとに特徴がある。

第1のモデル「Global Human Footprint index(人間のフットプリント)」では、道路や鉄道の線路、船の航路、夜間照明、牧草地なども利用して、人間のほぼいない場所を特定する。

「Anthropogenic Biomes project(人間が影響した生物群系)」モデルでは、人が暮らすことによって変化した生態系をそれぞれ分類して地図化している。例えば、アフリカの遊牧民が中程度の密度で暮らす地域を「居住者のいる放牧地」に分類するといった具合だ。

「Global Human Modification(人間による改変)」地図と「Low Impact Areas(影響の少ない地域)」地図は、人がいない場所を特定する試みとして、最近作られたものだ。どちらも家畜密度のデータを利用しているが、前者は採鉱やエネルギー生産も考慮し、後者は保護地域や森林伐採のデータも取り込んでいる。

それぞれこのような努力を続けていた研究者が集まり、互いの地図がどれだけ一致するかを調べたところ、多くの部分が重なることがわかった。

すべての地図で一致しているのは、地球の陸地のおよそ半分で「人間の影響が少ない」こと。どの地図も、おおむね同じ場所を「影響が少ない」と区分している。

これは驚くには当たらないと、研究者らは言う。この区分に該当するのはほとんどが、北米とユーラシア大陸のツンドラや北方林か、砂漠のような暑い地域だからだ。

いずれの地図も、人間が現在引き起こしている変化に注目しているため、変化が過去のものとなっている地域は「影響が少ない」に区分されている。

例えば、アマゾンの熱帯雨林は、何世紀にもわたって多くの人が住み、慎重に管理していたことが、考古学的研究と生態学的調査によって明らかになりつつある。野焼きによって生じた灰の層や、人間が植林したことが明らかなアサイーやカカオなどの森が残っているのはそのためだ。しかし、現在これらの森には大規模な耕作地やインフラがないため、今回の地図ではアマゾンの大部分が「影響が少ない」に分類されている。

「地球の半分を保護」は可能か

今回の研究によると、地球の陸地の50パーセントには人間の影響がわずかしか及んでいないことになる。つまり、一部の科学者による「地球の半分を自然保護区に」という大胆な提案は十分達成可能だという。

論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学デービス校の空間生態学者、ジェイソン・リッジオ氏は、この地図が、2050年までに「地球の半分を自然保護区に」という目標の正当性を裏付けること、そして2021年に予定されている次回の生物多様性条約締約国会議でこの目標が正式に決定されることを望んでいる。

ただし、リッジオ氏らのグループは、手つかずの地域を厳密な保護下に置こうと提唱しているわけではないと言う。人間の影響は少なくても、住んでいる人はいる。「住人を追い出そうとか、いかなる利用も許されない国立公園にしようなどとは言っていません」とリッジオ氏は説明する。

こうした地域で人間と野生生物が共存できるよう管理することは可能だとし、米国の研究機関であるスミソニアン渡り鳥センターが「バードフレンドリー(鳥に優しい)」と認定するコーヒー農園を例に挙げる。これらの農園では、林冠(森林の枝葉が茂る最上層)の下でコーヒーを栽培しており、林冠は鳥のすみかになっている。

保護すべきはどこか?

ただし、「人間の影響の少ない」地域だけを集中的に保護すればよいかと言うと、それほど簡単な話ではない。

今回の地図は、影響の少ない地域が各生態系に均等に分布しているわけではないことも示している。温暖な草原地帯や熱帯の針葉樹林、熱帯乾林では、「人間の影響が非常に少ない」地域は1パーセントに満たない。

また、「手つかず」の土地を守ることは重要だが、必ずしもそうした土地に多様な動植物が生息しているわけではない。地球規模で考えれば、熱帯地方には極地の生態系よりはるかに多くの種が生息するが、熱帯地方には人も多いと、英スコットランドのセント・アンドルーズ大学の生態学者、マリア・ドーネラス氏は指摘する。

ドーネラス氏らのグループも、最近独自の地図を作成した。気候変動や森林破壊、環境汚染といった観点で、動植物への脅威を示した地図だ。これは、先に紹介した地図とは大きく異なり、インドや北欧、東シナ海を危険地帯ととらえて目立たせている。人間の影響を強く受けている地域ほど、保護や保全の措置を講じなければ、種や生態系が消失する可能性が高い。

ただし、いかなる地図も何を保護すべきかまでは教えてくれない。私たちは、人間の影響の小さい地域を守るべきか、それとも多くの種が差し迫った脅威にさらされている、影響の大きい地域を保護すべきかだろうか。

「結局のところ、これは自然ではなく人間社会の地図なのです」とエリス氏は言う。「自然に関して地図をどのように解釈するかは、何に価値を置くかによって決まります」

(文 EMMA MARRIS、訳 山内百合子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年6月12日付の記事を再構成]

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