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国連OG、多彩に活躍 企業・大学でリーダーシップ

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NIKKEI STYLE

国際連合の本部や専門機関など国際機関で働いたキャリアをいかし、離職後も様々な分野で活躍する日本人女性が増えている。リーダーシップを発揮し、日本や世界をめぐる課題解決に取り組む「国連OG」の奮闘を探った。

「地方にいながらも、グローバルな視野を持ってほしい」。学生に呼びかけるのは常磐大学(水戸市)の学長、富田敬子さんだ。富田さんはニューヨーク国連本部の経済社会局などに30年以上勤務し、世界各国の国勢調査の支援などを担当。退職後の2019年、同大学長に就任した。

19年9月、常磐大は世界の1300以上の大学が参加する取り組み「国連アカデミック・インパクト」に加盟した。「学生が地球市民の一員として自覚を持つきっかけになる」と富田さん。学生の多くは地元で生まれ育ち、就職するが「海外展開する地元企業もあり、外国人労働者も多い。異文化を理解する姿勢を持ってほしい」

教育や学術分野に再就職するOGは多い。2030年までの持続可能な社会の実現を目指し、貧困や格差の解消、ジェンダー平等など17の目標からなるSDGs(持続可能な開発目標)を掲げている。「誰一人取り残さない」と宣言し、先進国でも自ら足元の暮らしを見直し、課題に取り組むという理念がある。実現には次の世代、未来の地球に思いをはせて行動を起こせるように、当事者意識を持つ若者の育成が欠かせない。

国連開発計画(UNDP)駐日代表をはじめ、国連機関に30年以上勤めた弓削昭子さんは退職後の14年、法政大学教授に就いた。国際協力の実務家がその経験を話すオムニバス形式の授業を展開する。

その弓削さんが持つもう一つの顔が、三井住友海上火災保険の社外取締役だ。ジェンダー平等、女性活躍推進の分野で日本の企業の課題に向き合う。「キャリアと家庭のバランス」をテーマの一つとした講演では、仕事と家庭の両立に悩むことが多い社員に「組織の制度を使い、可能な支援を徹底的に探ることが重要」と呼びかけた。

自身は二度休職した。それは「結婚前に夫婦で別々には暮らさないと決めていたから」。個人的な経験も語り、「希望する支援策がないなら上司や同僚、人事部に相談すること」と励ます。

20年1月、国連は事務総長から事務次長補までの上級幹部180人で男女同数を達成した。管理職の人事評価の項目に「女性職員の登用」があるという。弓削さんは「日本の組織も、その方法で達成できるのでは」と提案する。

女性への偏見や格差が潜む日本。その解消に向けて行動を起こすOGもいる。

国連軍縮研究所(UNIDIR)や国際労働機関(ILO)に勤めた小山淑子さんはその一人。現在は早稲田大学准教授だ。学生がジェンダーについて考える機会を増やそうと、20年度から設置された紛争解決に関する副専攻にジェンダー関連科目を加えるよう働きかけた。

外務省によると、18年12月末時点で国連に在職する日本人職員数(専門職以上)は全体で882人。うち女性は542人と6割をしめる。日本には教育や企業活動、地域社会の問題などSDGsを当事者として捉えることで糸口が見つかる課題も多く、国連OGへの期待も集まる。

UNDPに勤務し、現在は東京女子大准教授の安部由紀子さんは「SDGsはコミュニティー、国籍、学問領域にとらわれずに『世界のことは自分事』と捉えること」と学生に説く。「SDGsをどう生徒に教えていいかわからない」と小中高校の教師や他大学教員からの相談もあり、講師を務めるほか、出版社と共同でSDGsに関する教科書を作るなど広く活動中だ。

水野裕紀子さんはUNDP勤務後、フリーの翻訳者に転身。在職中は南太平洋のフィジーで援助プロジェクトの進捗管理にあたり、翻訳では自然エネルギーや環境に関する分野を中心に手掛けている。

だが、日本には「壁」もある。あるOGは任期を終えて日本に帰国した数年前のできごとを振り返る。ヘッドハンターに再就職先として民間企業を紹介された。しかし、「企業から『あなたはうちで順応できるのか』と聞かれて断られた」。海外でキャリアを積んだ女性を評価、受け入れられない企業文化がある。

SDGsに関心が高まる一方、「日本には貧困やジェンダーの問題は重要ではないと拒絶する人が多い」と語るOGもいる。日本の子供の貧困率は経済協力開発機構(OECD)諸国中で最も高く、指導的立場にある女性も少ない現実がある。それでも「一人ひとりが考えるべき問題と捉えられない」と、グローバルな課題に対する意識の低さを指摘する。

多角的な視点で数々の課題解決の道を探る必要に迫られる今。世界的な課題解決の実務経験がある国連OGは、その一翼を担っている。

「女性」意識しない職場を

今回取材したOG全員が、「国連在職中に女性であることを意識させられたことはあまりない」と語った。日本の企業に勤めたことのあるOGは「日本では窮屈に感じることもあった。国連には出身国やジェンダーの多様性を尊重する雰囲気があり、働きやすかった」と振り返る。

日本の指導者層は官民問わず、男性が圧倒的に多い。「国連だけではなく、海外では会議のパネリストやスピーカーを男女同数にすることが原則だ」とOGの1人は日本の状況を批判的に見る。男性はリーダー、女性はアシスタント――。性別役割への固定観念は普段、目にする「男性ばかり」の会議風景が作り上げたものでもある。リーダーシップをとる立場に女性が必ず一定数いれば、ジェンダーを巡る考え方も次第に変わっていくだろう。

(山下美菜子)

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