国連OG、多彩に活躍 企業・大学でリーダーシップ

2020/6/30
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国際連合の本部や専門機関など国際機関で働いたキャリアをいかし、離職後も様々な分野で活躍する日本人女性が増えている。リーダーシップを発揮し、日本や世界をめぐる課題解決に取り組む「国連OG」の奮闘を探った。

「地方にいながらも、グローバルな視野を持ってほしい」。学生に呼びかけるのは常磐大学(水戸市)の学長、富田敬子さんだ。富田さんはニューヨーク国連本部の経済社会局などに30年以上勤務し、世界各国の国勢調査の支援などを担当。退職後の2019年、同大学長に就任した。

19年9月、常磐大は世界の1300以上の大学が参加する取り組み「国連アカデミック・インパクト」に加盟した。「学生が地球市民の一員として自覚を持つきっかけになる」と富田さん。学生の多くは地元で生まれ育ち、就職するが「海外展開する地元企業もあり、外国人労働者も多い。異文化を理解する姿勢を持ってほしい」

教育や学術分野に再就職するOGは多い。2030年までの持続可能な社会の実現を目指し、貧困や格差の解消、ジェンダー平等など17の目標からなるSDGs(持続可能な開発目標)を掲げている。「誰一人取り残さない」と宣言し、先進国でも自ら足元の暮らしを見直し、課題に取り組むという理念がある。実現には次の世代、未来の地球に思いをはせて行動を起こせるように、当事者意識を持つ若者の育成が欠かせない。

国連開発計画(UNDP)駐日代表をはじめ、国連機関に30年以上勤めた弓削昭子さんは退職後の14年、法政大学教授に就いた。国際協力の実務家がその経験を話すオムニバス形式の授業を展開する。

その弓削さんが持つもう一つの顔が、三井住友海上火災保険の社外取締役だ。ジェンダー平等、女性活躍推進の分野で日本の企業の課題に向き合う。「キャリアと家庭のバランス」をテーマの一つとした講演では、仕事と家庭の両立に悩むことが多い社員に「組織の制度を使い、可能な支援を徹底的に探ることが重要」と呼びかけた。

自身は二度休職した。それは「結婚前に夫婦で別々には暮らさないと決めていたから」。個人的な経験も語り、「希望する支援策がないなら上司や同僚、人事部に相談すること」と励ます。

20年1月、国連は事務総長から事務次長補までの上級幹部180人で男女同数を達成した。管理職の人事評価の項目に「女性職員の登用」があるという。弓削さんは「日本の組織も、その方法で達成できるのでは」と提案する。

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