手取り月収20万円台 子どもを大学までやれますか?

手取り20万円台でも子育てできる?(写真はイメージ=PIXTA)
手取り20万円台でも子育てできる?(写真はイメージ=PIXTA)

お子さんを予定しているご家庭、子育て中のご家庭の家計相談では、「教育費」が話題になることがよくあります。お子さんが生まれる前のご夫婦は「子ども1人の教育費として1200万円は必要なんですよね……」、子育て中の方は「いつまでにいくらためておくといいのでしょうか?」などです。このように、お金に関する不安を持つ方が少なくありません。

妻が出産を機に仕事をやめてしまうと、世帯の手取り月収が20万円台になるというケースも多く、子どもを大学卒業まで育て上げることを不安に思ってしまいがちになるようです。

子育てには確かにお金がかかります。ためなくてはいけないことも事実です。ですが、情報があふれている今、不安をあおるような情報が多く、負担ばかり感じている人が多いように感じます。果てには子どもを負債のように捉え、「1人1200万円か」と子を持つことをちゅうちょしている人も多いのです。

子育てが終わった方に「教育費はどのように準備しましたか」と伺ってみると、意外にも「その時が来たら何とかできたのよー」などと、楽観的な回答をされたことが多々あります。

確かにそうです。教育費は子ども1人に1000万~2000万円かかるといわれますが、一度にまとめて必要になるわけではありません。実際に支払う教育費を順番にみていくと、まず幼稚園や保育園の入園時に入園料や制服代など多少まとまったお金がかかります。卒園までの保育料・授業料は毎月払い。卒園して小学校入学時は公立ならランドセル代や学校生活に必要なもの、私立ならそのほかに入学金など、公立より多く支払いが生じますが、そのあとは毎月払いです。このように中学、高校も同じように進んでいきます。

まとまった教育費が必要になるのは、小学校入学時など限られた時期だけ(写真はイメージ=PIXTA)

つまり、教育費の大半を占める授業料などは毎月の家計から支払うことが多く、まとまったお金が必要になるのは入園・入学などの決まったタイミングだけなのです。入園・入学時にかかる金額は公立か私立かで異なりますが、おおまかにみて10万~50万円程度。さらに、授業料などの毎月の教育費については、国の「教育費無償化」の取り組みで、かなり負担が軽減されています。

2019年10月から幼児教育、2020年4月から私立を含む高校と大学の授業料無償化が始まりました。幼児教育無償化は親の年収にかかわらず、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子どもと、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもなどの利用料が無料になるものです。保育施設によっては無料となる上限額が決められており、それを超えると自己負担になります。その他、施設費や給食費なども自己負担です。

高校は保護者の所得制限はありますが、国公立・私立共に施設・行事費などを除いた授業料を実質無償化。大学は対象大学が決められており、対象学生も住民税非課税世帯の学生になりますが、授業料の減免や給付型奨学金を受け、生活費のカバーも考えた実質無料の学びを実現しようとしています。

つまり、教育費の大部分は毎月の家計から払うものですから、まとまったお金のかかる時期に向けてお金をためれば十分なのです。

子育ての中で一番お金が必要になるときはいつになるでしょう。それは「大学進学時」です。大学も無償化といわれてはいますが、対象は住民税非課税世帯。両親と大学生本人、中学生の4人世帯で年収270万円未満が目安です。住民税非課税世帯に準ずる世帯は3分の2~3分の1の支援を受けられますが、所得の目安は同じ家族構成で年収380万円未満。平均的な収入のあるご家庭は利用できませんから、大学入学を考えるのなら、それに向けてお金を準備しなくてはいけないのです。

では、いくらためておくとよいのか。この金額について、私はまず「300万円を目標に」とお伝えしています。授業料だけで見ると国公立大学は4年間で214万3200円。私立の場合は文系、理系、医系で授業料が全く異なりますが、平均を見ると4年で351万940円です(2016年度、文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移参照)。

授業料の他に、私立大学は施設設備費用が10万~20万円ほど、国公私立大学共に教科書・参考書代などもかかります。それを考慮しても、まずは300万円ほどあれば、1年次、2年次分の大学費用にはできるはずです。不足する分は入学後に、お子さんのアルバイトと家計からの積み立てでカバーしたり、奨学金を活用してカバーしたりすることも検討できますから、ひとまず300万円を目標にしていただきたいのです。

ため方についてはいろいろな考え方があります。私自身は「教育費」と区切るのではなく、普通の貯金として毎月の家計からコツコツとためていくことが一番よいと考えています。ただ、それではためていくことができない、ためる習慣をつくれないという場合は「児童手当をためる」というやり方も一つです。

児童手当が入金される銀行口座を家計とは別のものにし、そこに振り込まれるようにしておくと、自動的にためていくことができます。お子さんの生まれ月により受け取れる総額は異なりますが、所得制限にかからなければ、生まれてから中学3年生の3月31日分までの分をためておくとおよそ200万円ほど。残る100万円を家計のやりくりで用意することができれば、大学入学までの目標を達成できます。

お子さんの人数や暮らし方、家計が黒字かどうかということにもよってしまいますが、ずっと手取り20万円台だったとしても、悲観することはないのです。十分に子どもを育てていくことができるのです。できれば、ご夫婦で収入を得ることができれば、もっとゆとりをもって準備していけることでしょう。

教育費は気構えすぎなくても大丈夫。大学費用に目を向けためながら、都度必要になる支出と毎月の支出をコントロールして支払っていくだけで、自然と1000万円、2000万円にもなる金額を支払えているのです。

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの相談件数は2万3000件を突破。著書に『はじめての人のための3000円投資生活』『年収200万円からの貯金生活宣言』など。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。
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