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50歳前に移住決意 バリキャリ捨て長崎でゲストハウス

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日経ARIA

「都会を卒業して、田舎でゆったり暮らしたい」――誰しも、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。とはいえ、家族の説得、家や仕事探し、新たなご近所さんとのお付き合いなど、越えるべき数多のハードルを前に「移住は夢物語」とあきらめている人も多いはず。そこで、国内の自然あふれる地方に移り、新たな生活をスタートさせた「移住の先輩」に移住成功の極意を聞きます。

長崎県のほぼ真ん中。長崎駅から1時間に1本ほどのディーゼルカーで約70分の千綿(ちわた)駅は、海岸と線路の間を遮るものが何もない、「海の見える駅」だ。昭和初期に建てられた風情ある駅舎からわずか2軒先にあるゲストハウス「さいとう宿場」。

ここを夫の齊藤仁(じん)さん(53歳)とともに経営しているのは、3年前に東京から移住してきた晶子さん(52歳)。前職は世界的なIT(情報技術)企業の正社員というキャリアの持ち主だ。夫の仁さんもまた商業施設の内装・外装を手掛ける業界最大手で長く活躍してきた。そんな職歴を持つ二人が「第二の人生を送る」と選んだのは、長崎の過疎の町だった。

海外に出て知った日本の住みやすさ

晶子さんは、東京育ちで実家も都内にある。大学を卒業し、1990年に外資系大手パソコンメーカーに入社すると、社内のサポート業務に配属された。社内の業務フローを見直して業務システムを整備する仕事だったが、本社の郊外移転を機に、都心で仕事を続けたい気持ちが強くなり、世界的IT企業への転職を選んだ。転職から数年たつと、アジア出張も増えた。

「そんなとき、3カ月間の期限付きでシンガポール勤務をしないかというオファーがあり、すぐに飛びつきました。29歳で出会った夫と結婚して間もない時期でしたが、単身でシンガポールに住むことになったんです」

アジアの中でも飛び抜けて高い経済成長率を誇る国際都市シンガポール。そこでの新生活は刺激に満ち、楽しかったであろうことは想像に難くない。晶子さんもうなずく。

「生活も楽しかったですし、仕事の上でも成長できました。東南アジア各国の異なるバックグラウンドを持つ人たちの生活文化やニーズを理解した上で、相手に受け入れてもらいやすい提案をすることの面白さに目覚めたのもこの時期。最初は得意でなかった英語も話せるようになりました。このまま社内でさらに上を目指し、キャリアを追求したいとの思いが強くなっていきました」

ところが、最初は目新しかったことも、それが日常ともなればやがて新鮮味も薄れる。

「3カ月暮らすうち、『あれ? 四季がないって、なんだか物足りないな』と気づいて。そういえば日本ほど変化に富む街や自然があるわけでもない。海外に出たからこそ日本のよさに改めて気づくことにもなりました」

「技術の進歩、変化の速さから距離を置こう」と退社

そんな折、東京本社では組織改編が急ピッチで進められ、晶子さんにはこの先の3つの選択肢を伝えられた。1つめはシンガポールに移籍して勤務を続けること。ただし、現在の給料保証は1年間という条件付き。2つめは階級と給料を下げて東京での業務に留まること。3つめはリストラに応じて辞めること。家賃水準も物価も高いシンガポールで給料が下がれば生活も大変になる。悩んだ末、晶子さんが選んだのは、13年勤めた会社を辞めるという道だった。

世界的IT企業、しかも高待遇だったという職を捨てる決断はどこから? その疑問をぶつけると、それまで常に抱えていたという心境を打ち明けてくれた。

「世の中がワープロからパソコンに変わるタイミングでずっと仕事をしてきて、昔は『プログラミングの天才』ともてはやされたある男性が中年になり、技術革新についていけず窓際族になっている現状を目の当たりにしました。自分もいつかは業界の変化のスピードについていけなくなるだろうなと思ったことが一つ。それと、会社の急成長で仕事が細分化され、必ずしもやりたい仕事ができなくなったということもありました。いずれは東京を離れてどこかへ移住して、宿や飲食の仕事をしたいという思いは、このころ芽生えたように思います」

失業後はハローワークに通い、飲み屋の店長に

IT企業を辞めた後、実は晶子さんには1年間のブランクがある。この間、ハローワークに通い、知り合いが経営する飲み屋の雇われ店長を務めた。この経験が、晶子さんの人生観を大きく変えることになる。

「ハローワークや夜の街で出会う人のなかには、かつて高給取りだった人、生活保護を受ける人、仕事がなくてぶらぶらしている人など、これまでの人生で出会ったことのないさまざまな人がいました。それまでの自分は、仕事をしていない人の気持ちが分からなかったし、仕事がないというだけで人間失格のように決めつけていたところがありました。でも、仕事の有無が人間の優劣を決めるわけではないんだと気づいたんです」

もう一度サラリーウーマンに戻りバリバリ働きたい

そう気づくのと同時に、持ち前のチャレンジ精神がふつふつと湧き上がり、「もう一度バリバリ働くサラリーウーマンに戻りたいと強く思った」という。「将来、田舎暮らしで自営をしても困らないようにしたい。そのときのために、経理の勉強を兼ねて、あと5年くらい東京で働いてお金をためよう」。そう決心した晶子さんは、3社目として食料品やペットフードの輸入販売会社を選び、慣れない経理の仕事に取り組むかたわら、移住の夢を温め続けた。

移住先の候補をキャンピングカーで巡る

仁さんもこの頃を振り返り、こう話す。「転職して5年目、そろそろ会社を辞めたいんだけどと切り出されたとき、ちょうど僕の会社が早期退社プログラムを始めたタイミングだった。『この機を逃すとまたタイミングが合わない』と、二人で移住計画を実行することにしたんだよね。僕のほうは2016年3月で退職。辞めたときは移住先すら決めていなかったけれど」

「移住先どころか、どうやって移住するのか方法も知らなくて。とりあえず田舎暮らしの雑誌を買ったら、その表紙がたまたま千綿駅でした。同時期に買った雑誌に、長崎県では県内への移住を検討する人に、キャンピングカーを1日3000円で貸し出す移住サポートを行っているという情報が載っていて、これは面白い取り組みだなと思いました」と晶子さん。

50歳少し手前で移住するというのは、二人で話し合って決めていた。もし考えが変わって東京に帰りたくなっても、まだ仕事が見つかる年齢だろうし、移住先にも柔軟に溶け込めるだろうという考えからだ。問題は、どこに移住するか。キャンピングカーで候補地を巡った二人は5カ月後、「最初は町名の読み方すら知らない町」、長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)東彼杵町に引っ越すことになった。

そこでいま、昭和時代の旅館をリノベーションした、2つの個室とドミトリーがある小さな宿「さいとう宿場」を二人で切り盛りしている。

(取材・文 飯田敏子、写真 松隈直樹)

[日経ARIA 2020年1月20日付の掲載記事を基に再構成]

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