映画初鑑賞は小6で「チャタレイ夫人の恋人」、泣けた「ディア・ハンター」

――昔から映画を見るのは好きでしたか。

1991年、宮崎駿監督(右)と東京・青山のレストランで

「大好きでした。最初に見たのはなぜか『チャタレイ夫人の恋人』(55年)。小6くらいかな。母に連れられて京都の映画館で見ました。貴族男性と結婚した美しい妻が森番とあいびきする話。小屋で2人がギシギシと激しく愛し合うラブシーンがすごかった。私は奥手でしたが、その場面は鮮明に覚えています」

「ほかには『ディア・ハンター』(79年)も忘れられない映画ですね。アメリカの田舎町からベトナム戦争にかり出された若者たちの話。ロシアンルーレットで命を落としたりするんだけど、主人公ロバート・デ・ニーロが思いを寄せる片思いの恋人メリル・ストリープとのやり取りが切なくてね……。ボロボロ泣けてきちゃって、映画館の赤電話から『私、悲しくて仕事に行けないわ』と事務所に連絡を入れたのを覚えています。『チャタレイ夫人の恋人』もそうだけど、私が好きな映画には女の生きざまというテーマがある気がします」

「紅の豚」のジーナのモデルとは? けむに巻いた宮崎駿監督

宮崎駿監督からもらって事務所に飾っている「紅の豚」のマダム・ジーナのセル画

――宮崎駿監督のアニメ映画「紅の豚」(92年)では声優としてマダム・ジーナ役で出演しました。

「ジーナはイタリア空軍のパイロットだった主人公ポルコ・ロッソの昔なじみ。3度飛行機乗りと結婚して全員と死別している未亡人です。セリフはもちろん、彼女が歌うシャンソン『さくらんぼの実る頃』も私が担当しました。実はジーナが歌っている姿や表情は私を参考にしたんですよ。宮崎さんの演出で撮影した私の映像をもとに、アニメのセル画を描いたそうです。その記念としてセル画を宮崎さんからいただき、今も事務所に大切に飾っています」

「宮崎さんは映画も音楽もよく知っていらして、とても勉強になりました。私、ジーナは米国に渡り、女優・歌手として活躍したドイツ出身のマレーネ・ディートリヒをイメージしたんじゃないかと思ってるんです。一度、宮崎監督に『ジーナはディートリヒがモデルじゃないですか』って直接聞いてみたら、宮崎監督はニヤニヤ笑いながら、『さぁ、どうでしょう? ご想像にお任せします』なんてけむに巻かれてしまった。だから真相は謎のままです。まあ、謎のままの方が夢やロマンがかき立てられていいですけどね」

(聞き手は編集委員 小林明)

エンタメ!連載記事一覧