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「中小企業はネットを活用して発信力や採用力を高めてほしい」という守島教授

「中小企業はネットを活用して発信力や採用力を高めてほしい」という守島教授

新型コロナウイルスの影響で経営体力に乏しい中小企業・個人事業主が苦境に立たされている。帝国データバンクの集計によると、新型コロナの影響で倒産した企業数は6月末時点で297件。このうち業種別では飲食店が46件と最も多く、ホテル・旅館が45件と続く。負債額では5億円未満が約78%を占め、小規模の倒産が目立つ。厳しい経営環境の中で、従業員の雇用維持や社内での人材活用をどうしたらよいのか。人材マネジメントが専門の学習院大学経済学部の守島基博教授に処方箋を聞いた。

――中小企業が置かれた経済環境をどうみますか。

「もともと体力が弱っていた企業に対し、新型コロナが最後の一撃を加えたという印象を受ける。それだけに中小企業への打撃は大きい。かつてのリーマン・ショックは経済の一大変動だった。米国の金融危機が震源となり、金融市場のグローバル化で、それが世界に広がった。しかし、観光による人の往来が以前と比べ増えたうえ、金融だけでなく、消費、生産のあらゆる市場がグローバル化してきたなか、新型コロナ禍が起きたことで、経済停滞の規模がより大きくなっている」

人材は次の成長の種

――ヒト・モノ・カネと経営資源に制約の大きい中小企業にとって、どう乗り越えれば良いと考えますか。

「非正規社員の雇い止めや、正社員でも失業が増えている。雇用調整助成金をはじめ中小企業への支援は手厚くなっている。経営者に言いたいのは、何とかできるだけ雇用を維持してほしいということだ。新型コロナ下で先が見通せないが、ワクチンや治療薬の開発も進む。どこかで必ず収束するときが来る。苦しい時に人材を解雇してしまうと、収束した時にビジネスが前へ進まない。苦境を乗り越え、次の成長の種をまくために、人材が大きな力になる」

――東京商工会議所が都内の中小企業などを対象にテレワークの実施状況を聞いたアンケート調査(5月29日~6月5日実施)によると、テレワークの実施率は67.3%と、前回3月調査の26.0%から大幅に増えました。専門・分業化が進む大手企業とは違い、中小は何でもこなさないといけない「多能工」職場です。中小にとってテレワークという働き方は有効でしょうか。

「オフィスから人影が消え、自宅にパソコンやネット環境を整えてテレワークをするという働き方ばかりが(新型コロナ後の)出口戦略ではない。重要なことはテレワークの導入をきっかけに、テレワークでできる仕事と、出社でしかできない仕事の『仕分け』をすることだ。効率化できる仕事、不要な仕事の削減、これまでの仕事の内容をいま一度見直すことが重要だ。例えば、テレワークとは無縁に思える製造業の工場でも生産ラインに最適な人員配置はどの程度か。従業員の出社の自粛を検討する中で、考えるきっかけにしてみてもいいかもしれない」

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