――リサイクルのプロセスはどういうものですか。

「みなさんの着古した衣類を破砕して、ケミカル分解技術でポリ繊維を再生原料に変え、糸にして、生地にして、という順番です。素材を使いたい、製品を売りたいというアパレルや小売りが増えています。アパレルメーカーによってはウール混紡とか綿混紡といった素材の要望もあるので、うちの工場だけでなく、連携する他のリサイクル工場で生産するものもあります。また、ウールの再生にはウールを得意とする工場に回すなど、よその技術と連携しながら服を再生するスキームをつくっています」

回収された服は破砕され(左)、PET樹脂(右)になり、糸へと再生されていく

コロナ禍を機に増えた「応援」の声

――回収拠点はどのくらいありますか。店頭でこのミツバチマークを見る機会が増えました。

「2800拠点になりました。良品計画、スノーピーク、はるやま商事なども拠点になって下さっています。服の回収量は18年で約600トンとなり、うちの工場で受け入れ後、素材ごとに分別をして連携する工場でも素材に適したリサイクルをしています。受け入れ量も増えているのでこれからはもう、工場を大きくするしかないなと思っています」

――自粛期間中に家で服を整理して、フリマアプリのメルカリなどに出したという人が多くいたようです。コロナでリサイクルの機運が高まったと思いますか。

「僕はSNSをしているのですが、書き込みとメッセンジャーが3倍以上増えて。驚きました」

「人間は時間があると、地球はこれから大丈夫かなあ、SDGsって何かな、といったことを調べるみたいです。検索するとうちの会社が引っかかってくる。それで知って『応援したい』『展示会をやるときに服の回収ボックスを置きたい』なんて書き込んでくれます」

――メルカリなどの登場で服のリユースが定着しつつありますが、捨てることには抵抗がある人も多いようです。

「服ってやっぱり、捨てにくいんですよ。愛着のある服を燃えるゴミに出すというのは、生活者にとってはあんまり気持ちのよくない行為。まだ着られるのにね、とか思って。それがリサイクルだったら気持ちよく出していただける。そこにフィットしたんだなと思います」

「120万円の資金で会社を立ち上げました。いまは資本金41億円。自分でもどうなっちゃうんだろう、と驚きます」

――トラッドが好きなのは、いいものを長く着たい、という思いもあるからですか。

「それもありますが、一番は、自分に合っているからです。おしゃれなブランドを着て鏡を見ると、何か落ち着かず、いつも慣れている格好になっちゃう」

――リサイクルでは冒険しても、ファッションでは冒険しないのですね。

「しませんね。ただ、1カ所だけ色を付けたいなと思っています。それも黄色。僕のネクタイの半分以上は黄色です」

「『幸福の黄色いハンカチ』という映画を10代で見て以来、大好きになりました。ラストシーンではためく黄色いハンカチを見てから、黄色は幸せ、黄色がいいなと思うようになりました。同じ山田洋次監督の『寅さん(男はつらいよ)』も大好きで何度も見ています。コロナの自粛期間に1~49作目までを一気見しました。ワンパターンだけど、安心するんですね」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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