――ご自身はクラレの出身。昔から服が好きでしたか。

「20歳前後はこだわりがありました。バブルのブランドブームで、JUNやVANでよく服を買っていました。いま56歳ですが、当時のこだわりはほとんど変わらぬままで、基本はトラッドです。服はダーバンをずっと着てきましたし、靴はリーガルが好き。飲み屋さんと同じで、あちこち寄らずに、いつも同じ店に行ってしまう」

学生時代からトラッド派。靴はリーガルが多いという

衣服リサイクルの輪 「無限」につなぐ

――リサイクルに目覚めたきっかけは何でしたか。

「クラレにいた20代後半のときに容器包装リサイクル法が制定され、ペットボトルから再生繊維を作る事業に携わるなかで興味を持ちました。ペットボトルは透明なので、糸やさまざまな素材にリサイクルしやすい。ところが服は複雑で、素材だけでも綿があり、ウールがあり、混紡した糸がある。しかも色がついていて、容易にリサイクルできなかった。ところがリサイクルに回ってくる中古衣料はどんどん増えてくる。それをどうにかしたいなあ、と考えていました」

「大きな組織にいるとやりたいこともできないので、2007年に現社長で、当時は技術者だった高尾(正樹氏)と会社をつくりました。綿繊維からバイオエタノールを生産する技術開発にはじまり、携帯電話のリサイクルの仕組みをつくったり、国内外の工場と交渉して技術を提供したりしました。海外のお客さんも非常に多いです」

服から服をつくるという循環は、ファッション業界が掲げるサステナビリティーの実現に貢献できると考えている

――あらゆる服を回収し、それを原料に服を再生するという「服から服へ」という発想はこれまでにないユニークなものです。しかも何度でもリサイクルできるんですね。

「1枚の服から1枚の服を何度でも作ることができます。10回も繰り返すとさすがにLサイズがMサイズくらいに小さくなりますけど(笑)。ポリエステルは繊維産業に欠かせない素材で全世界の衣料品生産量の半分以上を占めています。残りは綿が30%、ウールやナイロンが20%ほど。構成比率は時代によって変化しますが、ポリはどんどん増えています。水や薬剤を大量に遣う綿花は環境負荷が大きく、使いにくくなってきていますから、需要はポリに移っています。ポリは体を暖かく保ったり、クールなタッチにしたりと機能に優れたものを作ることができます。ウールや綿のような質感にもなる。ただ、服を作った後、次の使い道がない。そこで我々の技術が生きてきます」

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