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外国人に人気の「利き酒」 浅草の教室、コロナに対応世界で急増!日本酒LOVE(22)

外国人客には酸味の強い生酛・山廃の酒や、ワインのように樽(たる)でねかせたものなどが人気

日本酒テイスティング・レッスンは1時間飲み放題(4種の酒菜付き)で、味の違いが分かりやすい日本酒8~10種を60ミリリットルずつお猪口(ちょこ)やワイングラスで試飲。参加者の様子を見て、時には外国人が好む傾向が強い酸味の強い生酛(きもと)・山廃造りの酒を登場させたり、お燗を付けたりもしてきた。

平野さんは酒好きな外国人仲間と蔵元訪問もしてきた。単なる見学だけでなく、実際に酒蔵に泊まり込むこともしばしば。「朝4時から酒造りを始め、全身筋肉痛になるほどの肉体労働ですが、ワイン造りとの違いを外国人の方々に実感してもらう良い機会」とその意義を説く。

平野さんが蔵人体験で醸した酒。自分の名前入りの酒が届く

後日、自分が醸した酒が名前入りで手元に届く。苦労して醸した自分の酒は世界に1本のみ。海外からの参加者にとっては日本での良い思い出になり、感動の酒になるわけだ。この感動体験は、何としてもコロナ後もしっかり継承していきたい。そんな思いが、平野さんの原動力になっている。

「なぜ同じ日本酒なのにこんなに味が違うのか」。参加者たちのそんな疑問一つひとつに、平野さんは時に専門的なことまでも、わかりやすく丁寧に説明してきた。

欧米からの参加者はワイン好きが多い。ワインと日本酒を比較しながら説明すると、より理解してもらいやすくなることもある、と工夫の一端を明かす。日本酒は原材料(酒米や水)の違いに加え、醸し方や酵母なども味に大きな変化をもたらすことを伝えると、外国人客は「目から鱗(うろこ)」でかなり驚くという。

緊急事態宣言が出されていた間は、休業を余儀なくされたが、その間も「コロナ後」をにらんだ対策を忘れない。ソーシャルディスタンスを保ちやすい環境にするため、カウンター周りを一部、改装する工事を実施。最新の空調設備を導入したり、トイレ周りを刷新したりする準備も進めた。

「コロナ禍が落ち着いたら高単価の日本酒のテイスティングレッスンにも挑戦しようかと検討。普通の居酒屋では味わえないような高級酒や希少な酒も楽しみたいというお客様もいらっしゃいますから」

蔵人体験のような酒造り工程をベースにした体験にも何か工夫を加え、バージョンアップしたレッスンにできないか。レッスン時間が長いと、コロナ感染リスクが高まる。そこでレッスン前に日本酒の基本情報を理解できるオンライン動画を視聴してもらう手法なども検討中という。

コロナ禍前、海外の人たちに人気を博した日本酒テイスティング・レッスン。中央が茶御飯東京の主宰、平野さん。現在はソーシャルディスタンスを保って実施

一方、料理教室で一番人気を誇ったのはラーメンと餃子(ギョーザ)のレッスン。ラーメン作りでは、江戸時代から続く伝統的手製法である手火山造りの焼津産鰹節などの数種類の削り節やコンブなどを実際に見せ、だしの取り方から始める本格的な内容が海外客を魅了した。レッスンのハイライトは、麺をゆでた後にプロっぽく“湯切り”する瞬間。思わず上がる歓声が平野さんの耳に今も残る。「来たるべき時に向けて、とにかく備える。今はそういう時期だと思っています」。新たな形でまたエンターテイメント性の高い体験型レッスンが再開できる日がきっと来る。平野さんはそう話し、前を向く。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)


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