台所番長厳選 使ってよし、飾って絵になるフライパン合羽橋の台所番長が料理道具を徹底比較

おいしい焼き物料理ができるのはもちろん、経年変化を楽しめる、いつかは持ちたい、絵になるかっこいいフライパン3種
おいしい焼き物料理ができるのはもちろん、経年変化を楽しめる、いつかは持ちたい、絵になるかっこいいフライパン3種

合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は、焼き物料理に欠かせない、一生モノのフライパンを紹介する。(価格はすべて税別)

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こんにちは、飯田結太です。料理を始める人、料理が趣味の人、どちらにとっても欠かせない道具それがフライパンですね。フライパンは多種多様ですが、最近、個性的なデザインのものが目立ってきました。工芸品のようだったり、面白い素材だったり、経年変化が楽しめるなど、とにかく遊び心があります。さらに、それらは一生使えるほど丈夫で、使い勝手も良く、焼き物料理がおいしく出来上がるのです。まさに眉目秀麗なフライパン。今回は、マニアなら持っておきたい個性豊かなフライパンを紹介します。

台所番長こと、合羽橋の老舗料理道具店、飯田屋の6代目、飯田結太氏。今回は、道具の域を超越した、個性的なフライパンを紹介する。持っているのはエバーグリル「ゲンバ」

注文数カ月待ち? 隅々までこだわった手作りフライパン

メタルアートファクトリー金属造形工房MAF「アイアンフライパン」(8000円)。鉄製、直径26センチ、板厚1.2ミリ

メタルアートファクトリー金属造型工房「MAF(マフ)」(大阪府八尾市)のフライパンはとてもアーティスティックです。フライパンは通常、機械で打ち出しをして仕上げますが、マフではすべてが手作業の一点もの。その作業風景が美しくてひとめぼれし、すぐに仕入れたほどです。

マフの代表、柏原秀年さんは、大阪芸術大学出身のデザイナーで、溶かす、固める、たたく、曲げる、切る、削るという作業をすべてひとりで行っています。フライパンの内側の面は玉虫色に光っていますが、これもあえてそう光るようにでこぼこのヘアライン加工を施しています。削ることで表面に傷がつくので、食材がくっつきにくくなるのです。焼き入れをしているので、火入れなしでもすぐに調理に使え、焦げ付きにくい。ハンドルは、木の表情を生かした野性味あふれるデザイン。そして、鉄製なのにとても軽いから、女性でも使いやすい。

一つずつのパーツが工芸品の域なんです。これは後世まで残したい技術だと思います。難点をいえば、注文時期にもよりますが、注文してから届くまでに数カ月以上かかることもあります。しかし、一度これを使うと手放せなくなると思います。

現場の足場がフライパンに! ステーキ専用フライパン

エバーグリル「ゲンバ」(1万円)。鉄製、直径26センチ、板厚3.2ミリ

マフのフライパンがきっかけとなり、オリジナルを作ってみたいと開発したエバーグリルシリーズ。手がけるのは、新潟県燕市の「フジノス」という会社です。エバーグリルフライパンを開発していくなかで、「厚くて丈夫な鉄ほどステーキがおいしく焼けるなら、建設現場で使われている足場の鉄板が適しているのでは」という職人の発案で作られたのが「ゲンバ」です。

どこかで見たことがある模様だなと思った方もいるのではないでしょうか。現場の鉄板は、作業中に足が滑らないように、格子状の凸凹加工が施されています。これがステーキを焼くときにちょうどいい焼き目になります。板厚は3.2ミリもあるので、熱が全体に伝わるまでには時間がかかりますが、蓄熱効果が高く、熱がゆっくりと肉に入っていくので、肉が縮みにくく、柔らかく焼き上げることができます。

ステーキをおいしく焼くコツは、肉の縮みを少なくすること。急速に熱を加えると肉は縮み、肉汁が外に出てしまい、うまみがなくなってしまいます。それをさせないのが、エバーグリルのテーマなので、「ゲンバ」はまさに最適な素材だったというわけです。

何度もこのフライパンで肉を焼いていますが、とにかくおいしい。ただ、鶏肉は焦げ付きやすいので、油慣らしをしっかり行ってください。難点は、表面が凸凹過ぎて、ヘラが肉とフライパンの間に入らないということ。ステーキは表裏を1~2度返せばいいので、さほど気になりませんが。ぜひ、ワイルドな分厚いステーキを焼いてみてほしいですね。

あめ色に変化していくのが楽しい、銅製アウトドアフライパン

オークス「ameiroフライパン20」(1万5000円)、銅製(内側すず加工)、直径20.2センチ、板厚1.2ミリ、ヌメ革ハンドルカバー、収納袋付き

少し前にブームになったパンケーキ。パンケーキは銅製のフライパンで焼くとふっくらおいしく焼き上がるといわれ、一時期、銅製のフライパンがたくさん発売になりました。そのなかでも一目置かれていたのが、オークスのameiroシリーズ。

ameiroは使っていくうちにあめ色が深くなっていく銅製の鍋ということからつけられた名前。経年変化を楽しめるのが大きな特徴です。銅製の鍋は、熱伝導率が良く、均等に広がるので熱ムラができにくく、料理がおいしく仕上がることから、昔から料理のプロが愛用しています。料理好きの人なら一度は使ってみたいあこがれの鍋ともいえます。

このフライパンは、外側が銅製で、内側はすずでコーティングされています。さらに、ハンドルは真ちゅう製でヌメ革のカバー付きというところが男心をくすぐります。ヌメ革は使い込むほどになじんで色が深くなっていく革。これを調理道具に使うなんてぜいたくですよね。それだけでもテンションが上がります。

このフライパンのもう一つの大きな特徴は、携帯できること。直径20.2センチとフライパンとしては小さめで、パンケーキのほかに目玉焼きをつくるにはちょうどいいサイズ。なので、アウトドア用としても使い勝手はいいんです。

銅製は酸化しやすく、緑青が出やすいのでまめに手入れをしないといけないというデメリットがありますが、緑青が出ることが味になるという考え方も。緑青は体に害はないので、経年変化を楽しむこともできます。

今回ご紹介した3つのフライパンは、どれも個性があります。マフは1点ものなので、出来上がるまでに時間がかかります。エバーグリルゲンバは、とても重いので、うっかり落とすことがないようにしっかり持たなければなりません。ameiroはまめな手入れが必要。どれも、合理的ではないかもしれませんが、料理の出来栄えは保証します。そして、使用しないときも、飾っておきたくなるほどかっこいい。これこそ、こだわる人の料理の哲学ですよね。愛着がわく調理道具でおうち時間も楽しみましょう。(談)

(文 広瀬敬代、写真 菊池くらげ)

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