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キリンホールディングス社長 磯崎功典氏

キリンホールディングス社長 磯崎功典氏

キリンホールディングスの社長を2015年から務める磯崎功典氏。決して本流の出世コースを歩んできたわけではない。本業の国内ビール事業だけでなく、ホテルの総支配人や海外の財閥系企業で副社長などを経験した。「目の前に起こる現実に向き合って、困難な事態にも誠実に対処する。そして解決に向けて努力を続けること」がリーダーの要諦だと、多様な経験から学んだという。

(下)「しびれる」経験、若いうちに 苦労が人間力を磨く >>

――リーダーに必要な資質とは何でしょうか。

「社長が社員の手本になることです。逃げない、ごまかさない、おそれない。正直、誠実に生きることを、社長になるずっと前から心がけてきました。そして、社員の前で堂々と語れるかどうか。忖度(そんたく)することばかりに気を取られると、重要で本質的なことを見逃してしまいます。社長は会社の良心たれ、と自ら言い聞かせています」

――リーダーとしての経験を積んだきっかけは。

「JR尼崎駅北口で1999年に開業したホテル事業です。背水の陣と思って取り組みました。キリンビールの工場があったのですが、神戸市の郊外へ移転するので跡地活用策として尼崎市から要請を受けて、ホテルを建設することになりました。キリンはホテル業に土地勘がないので運営する会社を探しましたが、結局現れずに自ら運営することになったのです。そのホテルの総支配人として、私が開業準備の1年と開業後の2年間、全ての責任を負いました」

「私は会社に費用を出してもらって、米コーネル大学経営学部でホテル経営学を学んだ経験があります。ビールの取引先である飲食店の経営を支援するためです。でも、ホテル経営の実務経験は全くといっていいほどなく、採用した従業員にも経験者はほとんどいません。これは逆にチャンスだと思いました。業界の常識に縛られず、効率的な経営を心がけるようにしたのです。例えば、宿泊客のかばんを部屋まで持っていって案内することをやめて、部屋の冷蔵庫の中身を空にしました。だからサービス料も取りません。調理室は1つで、接客係はレストランと宴会場の両方を受け持つなど、効率化のためにあれこれ知恵を絞りました。女性専用フロアを設置したのも、当時としては先進的な取り組みでした。最も悩んだのが客室の稼働率です。業界では70%が及第点とされるのですが、52%から上がらずに夢にも出てうなされました」

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