パン屋で起業が難しいワケ 自分の適性と2軸思考の利第8回 マトリクス思考

パン屋は脱サラ派にお勧めの商売か?

「こんな会社、辞めてやる!」 サラリーマンでこのフレーズを心の中で叫んだことがない人はいないのではないかと思います。人(組織)に仕えることは苦労が絶えません。まさに「すまじきものは宮仕え」であり、やらないに越したことはありません。

それなら、いっそのこと独立して一国一城の主を目指すのはどうでしょうか。そう思った脱サラ派があこがれる商売が、コロナ禍の前はありました。パン屋さんだそうです。

パン屋の最大の魅力は気軽に開業できるところにあります。最低1人(個人事業主)でも始められ、わざわざ人を雇う必要もありません。お店を借りるスペースも小さくて済み、家賃もさほどかかりません。初期投資が数百万円程度と、貯金を取り崩せば何とかなる額です。

パンづくりの修業も今やそれほど大変ではありません。かつては何年もかかったのが、開業だけを考えるなら、1カ月程度でもできます。そんな人でも、評判の商品が開発できれば、それなりにお客を集めることができます。モノづくりの楽しさが味わえるのも大きな魅力です。

こんな風に、「事業に魅力があるか?」と問われると、パン屋は悪くない商売です。しかしながら、もう一つ忘れてならない話があります。「自分に合っているかどうか?」です。

人を雇わないなら、自分や家族に負担がかかります。朝早くから夜遅くまで、立ちっぱなしの作業が続きます。新しいパンのアイデアを出し続けないと、次なるヒット商品は生まれてきません。接客も大切で、愛想がよくないと務まりません。こういった点を見誤ると後悔する羽目になります。

異なる2つの側面からで物事を考える

こんな風に、物事を検討する際に、複数の側面から考えないと判断を間違える恐れがあります。そこで登場するのが「マトリクス思考」(2軸思考)です。

脱サラの話で言えば、タテ軸に「業界の魅力度」、ヨコ軸に「自分との適合性」を置き、2軸のマトリクスを設定します。次に、パン屋、ラーメン屋、コンビニ、中小企業診断士、ネットショップ、学習塾など、候補となる事業を図上に置いていきます。

最有力候補となるのは、どちらも高い右上の領域にある事業です(ライフワーク)。適合性が低いと苦労が絶えず(ライスワーク)、魅力度が低いと楽しくても儲かりません(ライクワーク)。もちろん、どちらも低い事業は選ぶべきではありません(ライワーク)。

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