検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

演劇界で始まる新しい生活 少しずつ前へ(井上芳雄)

第71回

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

井上芳雄です。5月25日に緊急事態宣言が解除されて、再び外での仕事が始まりました。自粛生活が明けて、また動き出せることのうれしさをかみしめながらも、現場では新型コロナウイルス感染への対策が手探りで進んでいます。いろんな状況がまだ元に戻ったわけではなく、少しずつ新しい生活が動き出したというところでしょうか。久しぶりの現場で感じたことや、演劇界の取り組みをお伝えしようと思います。

仕事場の風景は大きく変わりました。メイクさんはフェースシールドをつけてマスクをしていますし、スタジオにはアクリル板が設置されています。スタッフの人数も減りました。1時間に1回は換気のために窓やドアを開けたりと、手間のかかる生活になったというのが実感です。久しぶりに会えた人たちとは、思い切りハグしたい気持ちですけど、実際はできないし、大声でしゃべるのもままならない。もちろんお互いの身を守るために必要なことではあるけど、新しい生活様式にはまだ慣れていません。自粛期間が明けたからといって、すぐに元の状況に戻るわけではなく、先行きもまだ分からない。それに加えて、2カ月くらい家にいたので最初は体が仕事に慣れなくて、疲れやすくなったと感じました。みなさんの自粛明けは、どうでしたか?

緊急事態宣言が解除されて最初の仕事は、石丸幹二さんがパーソナリティーをされているラジオ番組『Grand Seiko THE NATURE OF TIME』(TOKYO FM/土曜12時)へのゲスト出演でした。6月放送の4回分を収録しました。自粛中はひげを伸ばしていたのですが、当日にひげをそり、美容院に行って髪も整えて、社会復帰のような気持ちで臨みました。石丸さんは東京藝術大学の先輩で、ミュージカル俳優として僕がずっと背中を追いかけてきた方。自粛期間に考えたことや感じたことがお互いにいっぱいあったので、話が尽きない楽しい収録でした。

そのとき撮った写真を見て気づいたのが、やはり長い間、人前に出ていない顔になっていたということ。復帰する前に食事制限などをして体を絞ったのですが、顔にまだ緊張感が足りないというか、締まっていない気がしました。

次の仕事は、初めてのオンラインライブの収録でした。収録した動画は「井上芳雄・大貫祐一郎 Presents『井上芳雄 by MYSELF』オンライン・スタジオライブ」と題して、6月6・7・8日の21時から3夜連続でYouTube配信されました。1回約30分の動画をまとめ撮りしたので、しゃべりっぱなしで歌い続け。けっこう疲れたので、表現に集中する体力がまだ戻っていないように感じました。

僕のラジオ番組『井上芳雄 by MYSELF』(日曜22時)を収録しているTBSラジオのスタジオで、ピアニストの大貫さんとトークをしたり、生演奏で歌ったり、コンサートに来ていただく予定だったゲストの方々のコメントを紹介したりという内容です。ラジオの収録をそのまま動画で撮ったような形になったので、「大貫さんは本当にピアノを弾いてるんですね」とか「芳雄さんは本当に座って歌ってるんですね」といった感想が寄せられました。ふだんラジオで声だけ聴いている人には新鮮な映像だったでしょう。

 オンラインライブは連日1万2000~1万4000人くらいに視聴していただきました。この時期は、本来は東京国際フォーラム・ホールAで3日間コンサートが予定されていました。会場のキャパ5000人の3回分と比べても、その何倍もの人数です。配信は無料で、時間帯が違うことを考えても、オンラインだとこんなにたくさんの人に見てもらえるというのは発見でした。ただ、お客さまの反応が直接見えるわけでもないから、当たり前ですけど、ライブの代わりにはならなくて、まったく別のものですね。

オンラインライブの初日6月6日は、僕のデビュー20周年の記念日。2日目の6月7日は、ライブ配信が終了した30分後から、ラジオの生放送に久しぶりに臨みました。僕自身もリスナーの皆さんも、これまで目立った動きができなかった分、お祭り気分の楽しい3日間になったように思います。

一方で、今までは劇場に行ってライブの準備をしたり、いろいろな人に実際に会っておめでとうと言われたり、日常の中でお祭りの実感がありました。今は集えないので、オンライン上でたくさん祝ってもらってはいるけど、生活はあまり変わらない。どこか実感があるような、ないような、今までと違う感覚もありました。

ミュージカルの灯を絶やさぬように

6月の初めには、クミコさんとデュエットした新曲『小さな手』のプロモーションビデオの収録がありました。つんく♂さんが作詞作曲された明るいポップナンバーです。すてきな振りがついたので、クミコさんと久しぶりに会ったと思ったら、すぐに踊りまくってましたね(笑)。走るような動作や手を広げるといった、普段やっている動きを取り入れた振り付けなので、老若男女を問わず、楽しく歌って踊れると思います。

クミコさんとは、6月23日の夜に生放送されるNHKの音楽番組『うたコン』に一緒に出演して『小さな手』を披露します。みんなが元気になれる歌を、ということなので、明るい色の衣装で歌い踊ります。クミコさんも僕も、振りのある曲を歌うことがあまりないので、どう受け止められるのか分かりませんが、今だからこそ楽しんでいただけるのではないでしょうか。僕たちも楽しみです。

PARCO劇場での動画撮影もありました。オンラインで演劇の魅力を伝えるプロジェクト「PARCO STAGE @ONLINE」のひとつで、「戯曲を読むということ~朗読劇『ラヴ・レターズ』を通して~」に坂本真綾さんと一緒にゲスト出演しました。

緊急事態宣言が出される前、僕が最後に立った舞台がPARCO劇場でした。2月16日に上演された朗読劇の2人芝居『ラヴ・レターズ』に真綾さんと出演しました。その後、『桜の園』の稽古に入って公演中止になったので、久しぶりに行った劇場がまたPARCO劇場でした。空いている劇場で動画を撮って、オンラインで見てもらおうという企画に声をかけていただき、『ラヴ・レターズ』の演出家・藤田俊太郎さんと真綾さんと僕の3人で『ラヴ・レターズ』にまつわる話をしました。見ていただけると、劇場を取り巻く今の状況なんかも分かると思います。6月下旬から動画配信される予定です。

PARCO劇場の動画もそうですが、「今、演劇にできること」ということで、いろんなジャンルの方から声をかけていただいています。今はできる限りお互いが助け合い、支え合うしかないので、僕にできることはやりたいという思いです。

 6月半ばにはWOWOWの特別番組『僕らのミュージカル・ソング2020 第一夜』の収録がありました。6月20日の20時から放送されます。毎年この時期に生放送していたトニー賞授賞式は延期となり、日本でも多くのミュージカルが公演中止になりました。そんななか、ミュージカルの灯を絶やさぬようにと番組を企画していただき、ホストとして出演して、歌も歌いました。コロナ禍で公演中止となったミュージカルのキャストや関係者に来ていただくというコンセプトなので、『ウエスト・サイド・ストーリー』から浦井健治くん、柿澤勇人くん、桜井玲香さん、伊原六花さん、『エリザベート』から演出の小池修一郎さん、『ミス・サイゴン』から昆夏美さん、屋比久知奈さん、小野田龍之介くん、ゲストに上白石萌音さんという豪華な顔ぶれです。

さらに、ブロードウェイで活躍されている女優で、昨年の『王様と私』の来日公演に出演されたケリー・オハラさんがリモートでゲスト出演して、僕とデュエットしてくれました。ブロードウェイでエレクトロニック・ミュージック・デザイナーとして活躍しているヒロ・イイダさんにも出演いただき、リモートで現地の様子をうかがいました。

お客さまに見てもらえなかった作品の一部の歌を聴いていただけたり、ブロードウェイを含めたミュージカル界の状況をお伝えできたので、とてもありがたい機会となりました。

舞台上での役者間の距離

こんなふうに自粛明けの仕事が始まり、新しい生活が動き出しました。何回か仕事に行くと、家族から「外の人の顔になってきた」と言われました。体も慣れてきたようです。でも今までのように、舞台の稽古と本番が続く毎日ではまだありません。休みの多い日常を送っているみたいな感じではあります。

演劇界はといえば、独り芝居とか朗読といったお互いの距離をとれるものから始まっていくように思います。コンサートやショーの形式も始めやすいでしょう。制作や関係者の方と話していると、お客さまをどうやって入れるかに加えて、舞台上でどうやって役者が距離をとるのかが難しいと悩まれています。演劇は人と人とが接触するところにドラマが生まれます。それができないとなると、方策を考えないといけません。

ましてやミュージカルは、歌って踊って、汗は飛ぶし、つばも飛びます。大作になると関わる人数も多い。そこをどうやって十分な感染対策をしながら、劇場を再開していくのかが大きな課題です。制限がある以上、工夫が必要。いろんな試行錯誤をしながら、少しずつ前に進んでいくことになりそうです。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第72回は2020年7月4日(土)の予定です。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_