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秋元里奈氏は「フォーブス」誌が選ぶ、アジアを代表する30歳未満の30人に選ばれた

秋元里奈氏は「フォーブス」誌が選ぶ、アジアを代表する30歳未満の30人に選ばれた

農家や漁師から商品をじかに購入できるオンライン市場「食べチョク」を運営するビビッドガーデン(東京・港)の秋元里奈社長が起業を決心したのは、新卒でディー・エヌ・エー(DeNA)に入社して3年がたったころだ。農家だった実家の畑を久しぶりに訪れ、変わり果てた景色にショックを受けた。幼いころ、親から言われた「農家は継ぐな」という言葉と、日本の農業全体が抱える課題がリアルにつながって感じられるきっかけになったという。

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秋元氏の記憶にあった「うちの畑」は、季節ごとにたくさんの野菜が実る、色彩の豊かな空間だった。だが、時をへて訪れたその場所には、知らない風景が広がっていた。

「枯れた植物に、生い茂った雑草……。色がすっかり失われていました。私が中学生のころに廃業していたので、よく考えれば無理もない。でも、誇らしく思っていたあの風景が二度と戻ってこないのだという喪失感に、がく然としたんです」

「農業はもうからない」という親の言葉が脳裏に蘇った。なぜなのか。いてもたってもいられなくなり、全国各地の農家を回って、事情を尋ねた。その先でたびたび耳にしたのは「自分の代で農業はたたむつもりだ」「子供には安定した職に就いてほしい」という声だった。

「そう言わざるを得ない状況に追い込まれていたのは、私の実家だけではなかった。共通の課題があるのだと気付きました」

従来、主流だったのは農業協同組合(JA)を介した取引だ。規格を満たしていれば一定の価格で買い取ってもらえることや、営農指導を受けられることなどメリットはあるが、農法や味わいへのこだわりは価格に転嫁しにくい。数人程度の従業員でやりくりしている事業者では大量生産も難しく、農業だけで生計を立てることすらままならない現状がある。

業界の状況を知ると同時に、誰もが「課題の存在」に気付いているにもかかわらず、解決されていない理由が気にかかった。これこそ「人生をかけるべき仕事なのではないか」と直感した。

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