コロナ禍で広がるリモート営業 スキル磨く女性たち

2020/6/23
フィリップ・モリス・インターナショナルの日本法人はリモート営業に注力する=同社提供
フィリップ・モリス・インターナショナルの日本法人はリモート営業に注力する=同社提供

新型コロナウイルスの感染拡大でパソコンなどの画面越しに商談する非対面の営業手法が広がっている。営業職女性は増えているが、従来は訪問などの体力的な負担が大きく、不利な面があった。わかりやすい資料作成など非対面でニーズが変わり、女性たちのスキル磨きが始まっている。

「医療機関への訪問ができないなか、部下とウェブ面談のロールプレーイングをやり、営業トークを磨いた」「資料を作成する際は、色の濃淡をつけた方が見やすくなりますよ」。13日、オンライン座談会に集まったのは外資系医療機器メーカーやIT企業などで営業職につく女性8人。非対面営業の悩みや資料作成のコツなど情報交換をした。

非対面営業は新型コロナウイルス拡大を境に、一気に広がった。一般社団法人「営業部女子課の会」(東京・港)が4月に実施した調査では「今後、非対面の営業ニーズは増えると思うか」という質問に、営業職の男女計315人のうち88%が「増える」と回答。営業現場では非対面の流れが浸透しつつある。

変化を先取りし、既に営業手法を見直したのが明治安田生命保険だ。2020年度は新規顧客の開拓をやめ、非対面を中心とした既存顧客との関係強化に切り替えた。営業職員は昨年配布されたタブレット型端末とスマートフォンを使い、既存顧客に保険料のコンサルティングや補償内容の変更などの手続きを行う。顧客との連絡回数を営業職員の目標・評価とする。

製薬大手の米イーライ・リリーの日本法人(神戸市)は3月から全国の営業所でオンライン説明会を開始。従来、1人の営業職が医師を何時間も待っても、話せる時間はわずかで、労働生産性の向上が課題だった。オンライン説明会では1人の営業職が複数の医師を対象に説明。医師にとっても自分以外の参加者がどの点に興味を示し、現場でどう薬を処方するかなど情報を得られて好評という。

たばこ大手の米フィリップ・モリス・インターナショナルの日本法人(東京・千代田)は全国に緊急事態宣言が発令された4月中旬、リモート営業に切り替えた。営業では企業の人事や総務部を相手に社内の喫煙環境のコンサルティングや、加熱式たばこのセミナー開催を提案している。

画面上では商品特性が伝わりにくい。チームで動画を撮影し合い「実際には触れなくてイメージしづらいから、ゆっくり話すよう意識して」などと指導。営業トークを刷新し、5月から本格的にリモート営業を展開。時間や場所の制約がなく、顧客の都合に合わせられるため、関係構築にプラスになっているという。

緊急事態宣言が解除されたが、営業現場で従来の対面式に戻そうとする動きが目立たないのは、非対面営業のメリットが多いからだ。女性8人のオンライン座談会では「仕事の効率が上がった」「飲み会が減り、健康管理の面でよかった」などの意見が出た。営業部女子課の会の調査では「遠方顧客との商談機会の増加」を挙げる声もあった。

男女問わず、非対面の営業に必要なのは「わかりやすい資料の事前準備や顧客からの要望に対する迅速な対応力」と太田彩子代表は説明する。子育てや介護など家庭との両立を求められ、不利と感じていた女性もスキルを磨くことで有利になる可能性がある。

注目記事
次のページ
やる気よりも情報分析力 明治安田生命社長