トヨタ4代目「ハリアー」 静かさアップ、世界に挑む

2020/7/5
「トヨタ・ハリアー」のプロトタイプの走りをクローズドコースで確かめた(写真:向後一宏、以下同)
「トヨタ・ハリアー」のプロトタイプの走りをクローズドコースで確かめた(写真:向後一宏、以下同)
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都市型プレミアムSUVの元祖であり、トヨタが誇る人気モデルの一台にも数えられる「ハリアー」。レクサスとたもとを分かった現行型の“味”を引き継ぎつつ、あらためて世界に挑もうとする新型の出来栄えは? クローズドコースでプロトタイプの走りを確かめた。

販売現場の声に救われた人気モデル

1997年に登場した「レクサスRX」は、乗用車のアーキテクチャーをベースに構築されるSUVにラグジュアリー性を付加した、今日のプレミアムSUVの先駆けとされるモデルだ。当時レクサスブランドの展開がなかった日本では、それがハリアーとして販売されたのはご存じの通り。このダブルスタンダード状態は日本市場でレクサスブランドが展開された後の2013年まで続き、一時は2代目RXがハリアーとして3代目RXと併売されるというこじれた事態も生じていたわけだ。

そして2013年、主権を完全にレクサスに移譲し、いよいよハリアーが大団円を迎えようかという際に、一部の国内販売網から上がったのがハリアー存続の熱烈な要望だったという。その声に応えるかたちで投入された3代目ハリアーが、販売最終年次の2019年でも月販平均約3000台というヒットになったわけだ。情報収集解析能力はハンパないだろうトヨタ本体の国内営業でも読み違えそうになったニーズを、地方の販売現場がしっかりつかんでいたというのも、なかなかイイ話ではないだろうか。

かくして4代目となる新型ハリアーは、国内専用に開発され……と思ったら、ちょっと事情が違っていた。課せられたタスクは、そもそも北米市場向けに開発・販売される「トヨタ・ヴェンザ」との統合だ。

1997年に「レクサスRX」の姉妹モデルとして登場した「トヨタ・ハリアー」。4代目となる新型は、専用設計のモデルとなってから2世代目となる
骨太な意匠による安心感や包まれ感、そしてもちろん上質感を追求したというインテリア。触り心地や、全体の調和にもこだわったという各部のサーフェイスにも注目

日本的な感性で世界市場に挑む

ヴェンザはSUVというよりはMPV的な色合いの強いモデルで、そのコンセプトはかつての「ホンダ・アヴァンシア」や「オペル・シグナム」にほど近い。無理をすれば7人乗りにもしつらえられそうな空間を、大人4人(諸元表の乗車定員は5名だが)の快適な移動のためにゆったりと使うというクルーザー的な立ち位置のそれは、しかし前述のモデルたちと同様、市場の理解がなかなか得られず、既に北米市場では販売を休止している。

そのヴェンザを“左ハンドル版のハリアー”として復活させるにあたり懸案となったのが、どちら側寄りでクルマのテイストを決めるかということだ。市場論理でいえば優位は販売台数が多く見込めるヴェンザの側となるだろう。が、今回はあえてハリアーの味付けをそのままヴェンザの側に用いることにしたという。これまで培ってきた日本的なスペシャリティーカーづくりの感覚が、ともすれば仕向け地でも通じるのでは……。その新たなトライは、思い切りドメスティックな「アルファード」がアジアで受け入れられたトヨタの自信だろうか。ちなみに、ハリアーは前型がマレーシアやシンガポールにも輸出され好評を博したことから、新型では他のアジア市場でも展開を想定しているという。

フロアやシートバックなど、各部が起毛素材で覆われたラゲッジスペース。開発関係者いわく、過度に実用性を突き詰めるのではなく、質感の高さにもこだわったという
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